【トラック追突事故】防止するための対策


トラック追突事故が起こる時の特徴や要因がわかったところで、事故を防止するための具体的な対策、行動についてお話しいたします。

ドライバーができる3つの安全行動-その1 適度な緊張感を持ち自己管理をする

まず第一に、運転中に眠気や疲れを感じたら、我慢や無理をせずにいったん休憩しましょう。長時間の休憩時間が確保できない時は、カフェインを摂取した直後に20分ほどの仮眠をとると、効果的な休憩になります。もしも30分以上の仮眠を取る場合には、目覚めた後に十分に眠気を取ってから運転を再開しましょう。
トラックの高速道での追突事故は、その約50%が走行距離100km未満に起こっています。それを踏まえて、高速道に乗ったら走行1時間以内で休憩を取ることがとても重要です。もしも渋滞などで遅延が生じても、焦らずに管理者へ連絡し、心の余裕を保ちましょう。

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日常における自己管理も大切です。読者の皆さんもご存知の通り、適度な運動や健康的で栄養バランスの整った食事や、日々、十分な睡眠時間を確保することが、疲労をためずに健康を保つ秘訣です。その他にも、日頃から家族や同僚と危険な場面に遭遇した時の安全に関する情報や、健康に関する情報を共有することで意識を高めることも大切です。管理者とも、乗務前、乗務後点呼の際に同じように、健康状態や交通障害などの情報を共有しましょう。

ドライバーができる3つの安全行動-その2 車内の整理整頓を徹底する

走行中は、きちんと運転に集中するために車内の整理整頓を徹底することも、脇見運転を防ぐために重要です。伝票やルートマップを手にしたり、走行中に携帯電話を操作することは脇見運転につながります。ペットボトルやタバコなど、物が座席に散乱していると、走行中の揺れで落下した時に気を取られてしまい、危険です。

ドライバーができる3つの安全行動-その3 状況変化を予測しながら運転する

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一般道での走行中にも言えることですが、必ず制限速度を遵守し、安全な速度を確保して運転することが「だろう運転」を防ぐために大切です。適切な車間距離を確保し、常に行く先の渋滞や故障者などの存在を意識して運転し、特に、カーブや豪雨、豪雪などの悪天候によって見通しが悪い場合には、普段よりいっそうの注意を払って運転しましょう。一般道では、高速道と違う種類の危険が潜んでいます。すぐに止まれるようにブレーキペダルに足を置き、早めのブレーキを心がけましょう。停止時には、不意な発信を防ぐため、再度ブレーキを引いておくのも良いでしょう。

疲労や眠気の有無で、速度や反応の速さが変化することや、一般車両に比べてアイポイントが高く、車間を見誤りやすいことも心に留めておくことで、危険を回避しやすくなります。

最後に

ドライバーの皆さんが自己管理に気をつけることで、多くの危険を回避できます。常に、あらゆる場面において危険が潜んでいることを意識し、走行中の環境を整えて運転に集中できる環境作りをすることが大切です。家族や同僚、管理者と日頃から風通しの良いコミュニケーションを行うことで、常に健康状態の共有を図り、自分でも気づかない隠れた疲労などに気づいてもらえる関係を築くことを心がけてください。

 

引用参考 「トラック追突事故防止マニュアル~追突事故撲滅キット~」

永年勤続者および年間優秀者 表彰


7月22日 当社では毎年、永年勤続者および年間優秀者を表彰しています。本年は永年勤続20年5名、同15年4名、同10年6名、最優秀賞1名、業績貢献表11名、特別賞5名、挨拶賞1名、身だしなみ賞1名、掃除賞1名、新人賞5名の方々が表彰されました。武藤社長より表彰状と金一封を手渡ししました。

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【トラック追突事故】特徴と要因


 

前回は、トラック追突事故が起こる背景をお話ししましたが、今回は追突事故が多発する時の特徴や要因をご紹介いたします。

 

多発する事故のパターンと特徴

追突事故が発生した場所のそれぞれで、人身事故と死亡事故を比較した場合、死亡事故は一般道、高速道ともに同じ割合で発生しているのに比べ、人身事故の約9割は一般道で起こっています。追突時の道路の形状や車線区分の特徴を見ると、一般道に置いては人身事故、死亡事故ともに単路で発生している割合が多く、高速道ではほとんどの追突事故が走行車線で発生しています。一般道では、信号のある交差点や信号のない交差点、踏切などを含めても、事故の発生率は5割に達しません。

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高速道での追突パターンは、大きく分けて3種類あります。

  1. 停止している車に低速度で追突(追突した側の車も渋滞で低速走行している状態で追突)
  2. 停止している車に高速度で追突(渋滞などで停車している車に気付かずに速度を落とさず追突)
  3. 走行している車に高速度で追突(前方の乗用車に気付かずに速度を落とさず追突)

時間帯にも特徴があり、人身事故は日中、6時から18時にかけてが一番多く発生していますが、死亡事故は0時から朝6時の深夜帯にかけて数多く発生しています。これは、事故の要因にも深く関わっている数値です。

 

追突事故の人的要因

ドライバー自身の人的要因について、人身事故と死亡事故を比較してみると、人身事故の要因としては下記が主に挙げられます。
1位:脇見運転(約4割)
2位:だろう運転(約3割)
3位:居眠り、もしくは居眠りに近い運転(推定)(約1割)
この3つの原因が、全体の事故の約8割を占めています。

 

死亡事故の要因は、約9割が上記と同様ですが、それぞれの要因の割合が大きく異なっています。
1位:居眠り、もしくは居眠りに近い運転(推定)(約5割)
2位:脇見運転(約3割)
3位:だろう運転(約1割)

 

居眠り、もしくは居眠りに近い運転とは、前方不注意も含めており、実際に居眠りしていた場合のみではなく、雑談や携帯電話などで話をしていたり、考え事などをしながら漫然と運転していた場合も含みます。

 

このように「居眠り運転」「脇見運転」「だろう運転」が追突事故が起こる直接的な要因であることがわかります。注意散漫な状態や睡眠不足、疲労が溜まった状態での長時間の運転が、主な追突事故の要因になっていると言っても過言ではないでしょう。そして、直接的な要因のほかにも様々な要因が背景には隠れています。事業者、管理者はこれらの事故の要因になりうる背景を考慮し「ドライバーができることを支援する」ことが求められます。

直接的ではない、追突事故の要因となりうる背景

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事業主の経営環境が厳しくなると、人件費を削減するために管理者が不足したり、管理者を育成する余裕がなくなることがあります。営業、売り上げを最優先にし、安全技術への理解や管理が希薄になりがちです。すると今度は、運行管理者による不適切な管理につながります。ドライバーに負担のかかる運行スケジュールを組んだり、渋滞や事故情報の共有がおろそかになったり、ドライバーの健康や疲労の状態を確認せずに運行を割り振るといった不適切な管理状況に陥ります。日常的な安全指導や、実際の事故の内容や要因の共有を怠るなども、事故の背景要因になりえます。

 

こうして運行管理者による不適切な運行管理が慢性化すると、ドライバーへの負担がかかるようになります。経営を良くするために、健康状態に不安がある状態にもかかわらず、プレッシャーから健康管理よりも運行スケジュールを優先させ、睡眠不足や疲労、焦りによって注意散漫な状態で運転することになります。そして、危険を顧みないスピードで運転を行ったり車間距離が不足したり、ひいては危険な状態をしっかり把握することができず、これらがドライバーの直接的な事故の三大要因、「居眠り運転」「脇見運転」「だろう運転」につながることとなります。

 

まとめ

トラック追突事故では、3つの直接的な要因「居眠り運転」「脇見運転」「だろう運転」があり、人身事故の8割以上、死亡事故の9割以上がこの3つの要因によって起こっています。これら直接的な要因の背景には、運行管理や安全体制に関する背景要因が存在します。「事業者」「管理者」「ドライバー」の、運送業に関わる全ての就労者が意識をして、背景要因の排除に努めることが、トラックの追突事故を減らすことにおいては不可欠です。

 

引用参考 「トラック追突事故防止マニュアル~追突事故撲滅キット~」

【トラック追突事故】重大性と、その背景


事業用トラックの人身事故のうち、追突事故は半数以上を占めます。また、ドライバーが死亡する割合は追突事故以外に比べ、約3倍にも及びます。今回は、このような追突事故が起こる背景を、実際の事故をご紹介しながらご説明いたします。

トラック事故の背景

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追突事故に限らず、事故の背景には【ドライバーの過労】の問題が存在します。平成27年度の巡回指導の結果によると、約2割の事業所において、ドライバーの過労を防止する施策が行われていないことが確認されました。全国貨物自動車運送適正化事業実施機関の巡回指導の内容は、過労を防止するために配慮された勤務時間、乗務時間を定め、それらを基に乗務割を作成し、適切な休憩時間や睡眠時間が管理されているかを調査するものです。この調査結果により、ドライバーが過労になりやすい環境が根付いてしまっていることがわかりました。

愛知県犬山市でのタンク車追突事故

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平成26年11月27日、愛知県犬山市の国道41号線で、ガソリンなどを積載したタンク車が走行中、交差点手前で乗用車に追突し、追突したことが原因で合計9台の多重追突事故が発生しました。この事故に関係した車両の運転者6名及び同乗者3名の、合計9名が軽傷を負い、タンク車のタンクが損傷して積載していたガソリンなど6,000リットルが路上に漏えいしました。
タンク車の運転者が、疲労と睡眠不足で集中力が低下している状態で休憩場所を探しながら走行していたことが原因で、赤信号で停止しようと減速していた乗用車に気づくのが遅れ、追突したと予想されます。運転者は点呼の際に、睡眠不足により疲労が残っていたことを申告しませんでした。そのため、運行管理者が疲労の度合いを把握できないまま運行の可否を決定していたことも、結果として事故の原因となりました。【出典】国土交通省・事業用自動車事故調査委員会・公表済み報告書より抜粋

トラックの追突事故の起こりやすさと被害

平成26年度における追突事故件数において、人身事故が9,292件、死亡事故が58件ありました。自動車全体の事故に比べてトラックの追突事故は約3.6倍も起こりやすく、平均人身損失金額は約1.4倍です。追突事故によってドライバーが死亡する割合は、追突事故以外に比べて約2.8倍にものぼります。死亡事故のうちでも、追突による死亡事故は2割弱、特に高速道では4割超を占めています。このように、トラックの追突事故は発生件数が多くドライバーが死亡する事故につながりやすいのです。事故を起こした場合の追突車は100%の過失を問われます。前方に交通違反の車両があった場合でも、70%の過失を問われます。このため、運送業界全体での最優先課題の一つとして、トラックの追突事故の防止に努める必要があります。

ドライバーの体調管理を徹底することで防げる事故がたくさんあることがお分かりいただけたでしょうか。運行管理者も、ドライバーに対してしっかり疲労の度合いを確認し、ドライバーも、自身の体力を過信せず、適度な休憩と睡眠を確保しましょう。

 

引用参考 「トラック追突事故防止マニュアル~追突事故撲滅キット~」

トレーラー火災の未然防止


本ブログでは度々、安全運転と事故防止策について注意喚起するエントリーを投稿しています。今回は、事故のうちでも「トレーラー火災」についてお話ししたいと思います。

トレーラー火災とは

路上でトレーラーが火災になると、物流の停滞や社会インフラに大きな影響を与えるだけでなく、多くの命を危険にさらすことになります。トレーラー火災の原因の85%はブレーキが原因で発生しています。近年3年間で82件ものブレーキ引きずりによる火災が報告されており、車両1万台あたりの火災発生台数では、トレーラーでの火災発生台数は大型トラックと比較すると、約5倍もの発生率です。また、トレーラー火災の原因の内訳として、スプリング・ブレーキ・チャンバのエア漏れと、リレー・エマージェンシー・バルブの不具合が約7割を占めています。

これを踏まえ、国土交通省では、トレーラー火災の原因の約はんすうを占めるスプリング・ブレーキ・チャンバのエア漏れを例に、火災がどのようにして起こるのか、検証実験を行うとともに、火災を未然に防止するための注意事項を発表しました。

トレーラー火災を未然に防止する方法

火災が起こることを未然に防止するためには、日々の点検や整備が大切です。

まずは、日常の点検を確実に行うことです。特に、スプリング・ブレーキ・チャンバの不良、例えばエア漏れ、戻り不良、内部のスプリングのサビや損傷がないかどうかのチェックを念入りに行いましょう。さらに、ゴミや気温の低下による水分の凍結などでバルブが詰まることによってピストンの固着などの機能不全が、リレー・エマージェンシー・バルブに起こっていないかどうかにも注意することが重要です。

冬期においては、以下3点のブレーキ機器の点検整備を徹底しましょう。

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  1. エア・タンク内の水分があるかどうか確認し、もしあった場合には水分を除去すること。エア・タンクから多量の水分が排出されるときは、エア・ドライヤーの機能が低下している可能性があることも考慮しましょう。(※エアタンク内に凝水がないことの確認は、法定で定められた点検項目です。)
  2. エア・ドライヤの点検、及び整備をすること。ブレーキ用エアに含まれる水分は、ブレーキ機器の潤滑油を洗い流して作動を妨げ、冬期においては凍結して作動不良になる危険性があります。これらの問題を解決するためトラクタにエア・ドライヤが装着されていますが、性能を維持するためには定期的な点検整備が必要です。乾燥剤やフィルターなどは定期的に交換しましょう。
  3. リレー・エマージェンシ・バルブはトラクタから送られたブレーキ用エアをコントロールし、トレーラ各輪のブレーキを作動させる重要な機能を有しています。ブレーキ用エアに水分や埃が含まれているとブレーキ機器の作動を妨げ、さらに凍結すると作動不良となり危険な状態になります。そのため、冬期に入る前には必ず凍結防止のため点検、整備を行い、リレー・エマージェンシー・バルブ内の水分があるかどうかも確認し、もしあった場合には水分を除去すること。

次に、トレーラー製作者の整備要領などに従い、劣化しやすいゴム部分などの定期交換を行うなど、日常点検に加えた点検整備を確実に行いましょう。

そして実際に運行する前には、駐車ブレーキが確実に解除されていることを確認しましょう。トレーラーのブレーキの引きずりは、運転中に感知することが困難です。必ず注射ブレーキが解除されていることを確認することで、ブレーキの引きずりを未然に防止することが重要です。

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どんなに日常点検や整備、確認を行っていても万が一火災が発生してしまった際には、速やかに路肩などに停車し、ドライバーや同乗者は安全な場所に待避して被害が拡大しないよう努めましょう。走行中、ドライバーや同乗者からは火の手が見えなくても、停車直後に激しく発火する場合があります。その場合には、速やかに消防機関にご連絡ください。

火災のみならず、すべての事故は日々の点検、整備によって未然に防ぐことが大切です。毎日の意識を大切に、安全な運転を心がけましょう。

引用参考 トレーラ火災の未然防止に関する注意事項の周知について