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固縛器具の種類 その2


前回ご紹介した合繊ロープ以外にも、荷崩れを防ぐために正しい固縛を行うための専門の道具があります。

ワイヤロープの取り扱い

合繊ロープと同様、ワイヤロープも固縛のために頻繁に利用されるロープのひとつです。合繊ロープと同様、キンクの生じるおそれのある箇所や著しく曲がりグセのある箇所はすぐに直しておくようにしてください。雨水にさらされたり、サビやホコリの多いところで使用したときは、サビや油切れの内容に綺麗に拭き取り、手入れを怠らないようにしましょう。ワイヤロープの掛け方も合繊ロープと同様に、結んだり引っ掛けたりして使用すると強度が低下するため、「合繊ロープを使用する時の注意事項」をご参照になって同様の対応を施してください。
使用前、使用後と常に点検をし、以上のあるものは取り替えましょう。例えば、ワイヤロープの径が公称径の7%を超えて減少したものについては使用してはなりません。ワイヤロープのヨリの間で、素線数の10%以上の素線が切断したものを使用してはなりません。よりが戻った状態や変形、型崩れが著しく心鋼が露出してしまったものは使用してはなりません。編組み部分の不完全なものは取り替え、アイスブライズの環部の変形の著しいものは使用してはいけません。キンクしたもの、錆び、腐食、油切れの著しいものは使用してはなりません。

ロープ類の取り扱い

基本的に、合繊ロープとワイヤロープは同じように、結び方や掛け方によって強度が低下してしまうので注意が必要です。こま結び、本結び、引しめなどの結び方をすると、ロープを2本使用するにも関わらず強度が0.5本分まで下がります。引掛け、十字結びの場合はロープ1本分まで強度が下がるので注意してください。また、積荷の鋭い角にロープを直接掛けると切断する可能性があるので、必ずクッション材を用いて固縛します。特に、90度の角度を有する積荷に引っ掛けられたロープの強度は、通常の50%〜60%まで落ちるので、特に注意が必要です。ロープの種類により、張力を加えた時の伸び方に差があるので、これも注意が必要です。たとえば、新品の12mmの太さの繊維ロープを50kgfの力で引っ張った場合、約3〜5cm伸びます。これが100kgfになると約5〜7cm、200kgfになると約8〜12cmも伸びることになります。これが、8mmの太さのワイヤロープの場合、50kgfの力で引っ張ると約0.04cm、100kgfだと約0.07cm、200kgfだと約0.13cm伸びる計算になります。このような伸び率を加味した上で、正しくロープを選んで固縛しましょう。

荷締機の取り扱い

荷締機には、キトーレバーブロックやフジプーラー、富士式荷締機など様々な種類がありますが、一貫して、レバーブロック、プーラー、ヒッパラーなど、フックの回転部分や鎖、ワイヤロープなどに錆が出ないように汚れを落とし、塗油します。荷締目をする時にレバーにパイプを挟んだり、足で踏むことは大変危険なので絶対に避けてください。鎖部分は、破損を防ぐためにねじれたままでは使用しないよう注意してください。固縛した後の荷締機のレバー及び鎖には、振れ止めを施します。

当て物(クッション材)

ワイヤロープや合繊ロープが滑ったり、過度に当たって切断してしまうのを防ぐため、また、積荷が損傷したり接触したりするのを防ぐために、様々なクッション材を使用します。麻袋、当てゴム、ゴム帯、毛布、布団、すのこなどの「ヤワラ」、パイプの半割りなどの「当て金」、薄い板などの「当て板」、矢板、くさびなどの「キャンパー」などがあります。用途に合わせて正しいクッション材を使用し、積荷を安全に固縛しましょう。

 
引用参照 鋼材等重量物輸送に携わるプロ運転者・管理者用ガイドブック 改訂版

固縛器具の種類 その1


以前、荷崩れの発生する原因として「積み付けの形が崩れることによる荷崩れ」が挙げられることや、荷崩れしにくい固縛方法と注意事項などをご紹介しましたが、今回は具体的な固縛器具のご紹介をいたします。

固縛に関する禁止事項

固縛機器の破損や外れなどを帽子するために、荷台のロープフックや外枠の株に荷締機のフックなどを直接かけてはいけません。必ず、補助ワイヤロープまたは環を使用してください。積荷を保護するために当て物を使用し、積荷には直接ロープや荷締機を当てないように気をつけましょう。また、積荷に取り付けられた金具が角張っている場合は、ワイヤロープを直接かけずに、必ずシャックルを介して固縛してください。
積荷とワイヤロープとの張り角度はなるべく45度以内に収め、角度を大きくしないよう注意します。ワイヤロープを結んだり引っ掛けて使用すると強度が半分以下になるため、そのまま使用してください。固縛箇所で積荷とあおりの間に隙間がある場合は、そのままにして固縛せずに必ず木材を埋めるよう注意してください。

合繊ロープの種類

積荷を積載して固縛するためには、合繊ロープなどの専門道具を使います。
合繊ロープの強度は、太さだけでは判断できません。同じ径であっても柔らかでボリュームだけがあり強度の低い合繊ロープもあるので、単位あたりの重量が規格以上あるかどうかを確認することが重要です。

合繊ロープの張力

ナンキン一段締めの場合、人力でロープをかけた場合の張力は、熟練のドライバーが全力を集中してロープを締めた場合には約110kgf、熟練のドライバーが普通に締めた場合には約70から80kgf、ドライバー以外の不慣れな人が締めた場合には、体重75kgの人で約60kgf、体重50kgの人では約35kgfまで張力が減ってしまいます。貨物を積載して走行したとき、車体の振動によって積荷自体も振動します。それによってロープの結び目が固くなったり、積み込んだ時にあった積荷と積荷の隙間が詰まったり開いたりすることで、ロープの張力は約40〜50%減少します。加えて、合繊ロープに張力を加えると本来の長さより伸びたり、使用期間によってその伸びが変化したりすることも加味して使用してください。

合繊ロープを使用する時の注意事項

合繊ロープはワイヤロープに比べて化学的、物理的に影響を受けやすく、ヨリが戻った時強度が極端に低下するので注意が必要です。また、ゆっくり引っ張っても切れませんが、緩めておいた物を急に引っ張るとたやすく切れてしまいます。鋭い角のある物体に合繊ロープを掛けて力を加えると、外側の繊維は大きな伸びが必要になって切れやすくなってし舞うので、できれば間に角材やあおりなどをあてがって鈍角になるように固縛してください。雑貨などに合繊ロープを掛ける場合は、足元に注意しながらロープが重なったりよじれたり、外れないように注意して作業しましょう。
合繊ロープを外す時は、荷物の安定を確かめてから緩めてください。また、合繊ロープを引き抜く時は無理をしないように注意してください。もしも合繊ロープに捩れが生じた場合はすぐに直しましょう。ロープを、ロープのヨリと同じ方向に何度もヨルとキンクができてしまい切れやすくなるので、絶対に避けてください。

合繊ロープ使用後のお手入れ

合繊ロープは常に乾燥した状態で保管し、次の作業の時に最良の状態で使用できるようにしておきます。濡れた合繊ロープは日陰で陰干しをします。汚れたままだと、繊維が痛みやすくなってしまいますので、常に清潔な状態を保ちましょう。酸性、アルカリ性の積荷には合繊ロープは使用してはいけません。バッテリ液、洗剤、ペイントなども同様に、合繊ロープの使用は禁止されています。
引用参照 鋼材等重量物輸送に携わるプロ運転者・管理者用ガイドブック 改訂版

荷崩れしにくい固縛方法と注意事項


積み付けをきちんと行わないと、走行中の車両に加わる振動や衝撃により、積み付けが移動したり変形し積荷とロープ掛けの間で隙間が生じてしまいます。その結果ロープ掛けが緩み、積荷にロープ掛けをしていない場合と同じ状態になり、荷崩れの範囲がさらに広がることになります。したがって、ロープ掛けの効果を保持するために、積みつけの仕方をよく知るとともに必ず実行しなければなりません。

カートン、木箱などの数物雑貨の場合

まず、前後左右の隙間をなるべく小さくするように、前方から整然と緊密に積みつけることから始めます。「天地無用」などの荷扱い指示マークにしたがって積みつけ、その貨物に適した荷扱器具を使用し、手かぎなどは使用しないようにしましょう。積み重ねる場合には、その貨物の外部包装が上積みする貨物の重量に十分耐えうるものであることを確認してください。万が一、上積貨物の重量により変形する恐れがある場合には、中間にベニヤ板を挟んで重量の分散を図りましょう。
同一寸法のカートンや木箱貨物を積み付ける時は、積み重ねる段ごとに配列のパターンを変えて積み付けると安全です。最近は、倉庫保管とトラックの積み卸しの効率化のために数物雑貨の大部分がパレット積みされています。一般的には、パレット積みの中でもピンホール積みやレンガ積みの方法がもっとも荷崩れしにく方法として採用されています。
カートン箱を積み重ねた場合の上下間の摩擦係数は、実験によると0.2〜0.4の範囲でやや滑りやすい結果が出ています。ですから、高く積み上げる(多段積)場合には、中断にダンボール紙を挟み込むとカートンの圧損や変形も減り、横滑りに対する抵抗力も増えて荷崩れしにくくなります。

各種の貨物を混載する場合

決して軽い貨物の上に重い貨物を積み重ねないようにしてください。軽い貨物が重量に負けて破損し、バランスが崩れて荷崩れの原因となります。貨物に鋭い角や突起物がある場合は、他の貨物を損傷しないように当て物をして保護します。

鉄鋼製品や長尺物などの場合

重量貨物は、集中荷重、偏心荷重になりがちなので、積み付ける時は重量配分に十分考慮することが大切です。
積荷全体を総合した総合重心の位置は、トラックの荷台の前後左右の両者の中心いちになるべく近いことが望ましいです。特に、重量の重い機械製品や不整形の加工物などを数個積み合わせる場合は、荷台中心に積荷の総合重心が近づくように積み付けることが必要です。
サイズの違う、大きい機械などの複数の積荷の場合には、積載重量や貨物の寸法から前後(特に前方向)や左右に隙間が生じるので、その隙間は木材などを使用して、走行中にズレを生じないような対策を施しましょう。コイル・コンクリートパイル・大口径菅などの円形断面の貨物の積み付けについては、積み付けに当たって転動防止のために歯止めを用いないといけません。歯止めの高さは直径の10分の1以上であることが望ましいです。

積み付け、固縛にあたっての注意

積み付け作業は指揮者と十分に打ち合わせし、その指示に従います。特に帰り荷を積む場合には、積荷の確認が大切です。積み付けと固縛に必要な機器を十分に活用し、絶対に作業に手抜きをしないよう心がけてください。荷台上での積み付けと固縛作業中は、常に荷崩れや不慮の自体に備えるとともに、可能な限りクレーンドライバーの視野から外れないよう、積荷と鳥居の間に入ったり、積荷の下に入らないよう注意して作業します。安全帽、安全靴を着用し、安全な姿勢で作業を行なってください。

 
引用参照 鋼材等重量物輸送に携わるプロ運転者・管理者用ガイドブック 改訂版

荷崩れの発生状況


前回のエントリー「荷崩れを防ぐには」でお話しした通り、走行中に荷崩れを起こす原因として、走行中の路面の凹凸からくる振動や衝撃、急制動や急発進などの急激な運転操作からくる衝撃、そしてカーブや曲がり角における急旋回時の遠心加速度が挙げられます。このような振動や衝撃を受けて生じる荷崩れの発生状況を分類すると「横滑りによる荷崩れ」「積み付けの形が崩れることによる荷崩れ」「転倒による荷崩れ」の3種類に大別することができます。

横滑り(前後または左右)による荷崩れの発生

数物のカートン貨物では、積載率を上げるために積み重ね段数を増やす必要があります。中身の重量がある程度重たい場合は、カートンの縦横の配列を各段ごとに変えることによって、上下のカートンがわずかに食い込んで横滑りに対する抵抗力が増し、滑りにくくなります。しかし、軽いカートン同士や正方形のカートンの場合は、摩擦係数が低いため、側面あおりやロープ掛けなどによって横滑りを防ぐ対策を施す必要があります。特に、長いS字カーブや曲がり角での旋回時に、遠心力によって横滑りして荷崩れを発生しやすいので注意が必要です。
また、コイルなどの鋼製品、鉄板類、工作機械などの裸貨物の場合も、十分な強度を持った固縛をほどこしていないと、急制動時の衝撃やカーブ走行時の遠心力により横滑りを発生し、運転席を押し潰したり、車体外へ積荷が落下して交通渋滞のみならず、通行人や他の車両を巻き込んだ大きな事故に結びつくことになります。特に、カーブ走行中や曲がり角で不意に人、自転車、車などが飛び出してきて、旋回しながら急ブレーキをかけたりした時に固縛強度が不足していると、ワイヤロープが切れて積荷が路上に落下してしまう事故が多く報告されています。

積み付けの形が崩れることによる荷崩れの発生

これは、生野菜や果物などを、カートンではなく合成樹脂や竹製のカゴに入れて積み付けた場合や、稀に生野菜を裸のまま積み重ねて積み付ける場合などに起こりやすい荷崩れです。このように積荷そのものが積み付け(積み重ね)に対する外装強度を持っていない場合は、積荷の荷崩れを積み付けの仕方とロープ掛けで防ぐことは不可能に近しいのです。すなわち、積載場所全体を外装容器とすることが必要です。つまり深あおり車や密閉バン車を使用するか、ボックスパレットなどを利用せざるを得ません。
また、カートンや木箱などは中身の貨物の破損を含めて下段の貨物が重圧により変形し、荷崩れを生じることが稀にあります。積み付け時にカートンの変形や木箱の損傷状況に注意する必要があります。別の例としては、木材やコンクリートパイルや円筒などで怪の大きい貨物の場合は、ロープなどによる固縛強度(固縛箇所数×ロープの強度)が不足していると、カーブ走行や曲がり角での旋回時などに遠心力がかかりロープの緩みが大きくなり、積み付けが崩れることでロープが切断されることがあります。このような貨物については、三角形の歯止めとワイヤロープによる固縛、あるいは荷台の両側面でのスタンションを使用することが有効です。

転倒による荷崩れの発生

背の高い積荷の場合は重心の位置が高いので、急ブレーキをしたりカーブ走行や曲がり角での急旋回時において、積荷が転倒する恐れがあります。転倒を防止する方法としては、ロープ掛けの強度(固縛箇所数×ロープの太さ)を一般的な貨物の場合より大きくする方法と、転倒しにくいように転倒するときの回転の支点を台木やスタンションなどを用いて上方にずらす方法があります。

引用参照 鋼材等重量物輸送に携わるプロ運転者・管理者用ガイドブック 改訂版

荷崩れを防ぐには


荷崩れの原因

トラックやトレーラーの走行は「地震の連続発生」のようなものです。トラックの積荷に加わる振動や衝撃を地震の震度に例えると、静かにアクセルを踏んでゆっくりと発進した時には震度2の軽震、乱暴に急発進した場合には震度7の激震に値する揺れが積荷にかかります。トラックが走り出すと、積荷は絶えず大小の地震に見舞われることになります。舗装の良い道路であれば、上下に震度2程度の負荷がかかります。道路工事中の段差や、橋と両岸の土床との継ぎ目、マンホールの蓋の乗り越えなどの道路の凹凸は、積荷にとっては震度4の中震から震度7の激震となって上下方向に揺さぶられる衝撃になります。

カーブする時に積荷にかかる負担

左から右にカーブしているS字型の長い下り坂を降りる際、例えば曲線半径100mの左に曲がるカーブを速度50km/hで走った場合、積荷は右側方向に引っ張られる遠心力を受け、その力の強さは震度5の強震に相当します。また、同じ100mのカーブを速度60km/hで走った場合に積荷に加わる遠心力は、震度6の烈震に相当します。

ブレーキ時に積荷にかかる負担

信号待ちの停車など、通常のブレーキ動作であれば震度2の軽震程度の衝撃ですが、少しでもブレーキを踏むタイミングが遅れると、震度4の中震の衝撃に相当します。万が一、駐車車両の陰から子供や自転車が飛び出したりして急ブレーキを踏んだ場合に積荷が受ける衝撃は、震度7の激震以上に相当し、積荷は車の前方に強く押し出されてしまいます。積荷が重ければ重いほど、衝撃は大きくなります。

地震とトラック走行中の振動・衝撃の違い

前述では、積荷にかかる衝撃を地震の震度と比較して説明しましたが、実際の地震と、トラック走行中の振動や衝撃とは、全く同一とは言えません。地震と走行中の振動は、振動の周期と方向性に違いがあります。トラックの走行中に発生する振動や衝撃の方向は、路面の凹凸から発生する上下の動き、そして加速、減速、ブレーキによる前後の動き、さらにカーブ走行時の遠心力からくる左右の動き、これらが全て重複して積荷に加わります。特に、走行中の上下方向の振動は、積荷とトラックの床面の間や積荷同士の滑りに対する抵抗力を低下させるので、走行中の積荷は静止している時に比べて非常に煮崩れしやすいものになります。
一般的に、いつどのくらいの自信が発生するのかを予知することは、非常に難しいですが、トラックの積荷の立場から考えてみれば、走行中に連続した揺れに見舞われることは明白で、その振動の大きさも予測できるはずです。ですから、走行中は必ず大小の地震に遭遇することを前提として、それによって生じるかもしれない荷崩れを防止する対策は絶対に必要です。

荷崩れを防ぐには

事前に荷崩れを防ぐには「貨物の積付け」「貨物の固縛」「運転方法」の3点を組み合わせて実行しなくては効果がありません。前述したように、トラックの走行中にはいつも震度4以上の地震に襲われることになるので、積付けをきちんとしただけでは、荷崩れを防止することはできません。
また、出発前にいかにしっかりロープなどで固縛しても、積み付け方が悪いと走行中の振動や衝撃で、積荷の移動や変形が起こって隙間が生じ、ロープに緩みが出たりしてさらに荷崩れを誘発することになってしまいます。したがって、積み付けも固縛も荷崩れを防止する重要なポイントになります。
次に、運転方法も重要な要素となります。走行中に、積荷が大小の地震に遭遇するような振動や衝撃を受けることは避けられないとしても、急ブレーキ、急発進、急旋回走行などの回数が多ければ多いほど、それによって積荷の変形や固縛の緩みなども増大し、荷崩れの発生に繋がります。

 
引用参照 鋼材等重量物輸送に携わるプロ運転者・管理者用ガイドブック 改訂版

安全輸送のための 積付け作業・固縛作業


荷役作業時の墜落、転落災害

貨物自動車運送事業における死傷者事故は、墜落や落下によるものが3割も占める原因となっています。鋼材輸送などにおいては、お客様(発側)では作業台や固縛施設などの安全設備が整備されてきているが、お客様(着側)においては、十分な配備がされていない状況にあります。ドライバーの積付け技能や固縛技術をさらに向上させ、車両からの転落や墜落の防止を図るとともに、お客様との定期的なパートナーシップ会議などを通じて安全設備などの設置を推進し、自己の撲滅に取り組む必要があります。

積付けや固縛、シート掛け時の事故

荷台において、製品や車乗備品との接触、つまずき、滑り(特に雨天時)、強風の煽りによる転倒、転落事故が起こりやすくなっています。車上での後ずさりや、不安定な作業姿勢も事故につながる原因です。積付け、積卸における作業台の不備による車上から転落する事故も報告されています。ワイヤー、台木やシートなどの積付材料の路上落下、乗り上げによる交通事故や、手抜き作業や指定材料使用義務などの固縛基準違反による製品の落下自己、および慣れによる事故も起こっています。車上でシーツを折りたたむ作業をしている最中、突風に煽られて車上より転落したり、需要家構内でパイプを取卸中、荷崩れにより玉掛補助のドライバーが重大な災害に巻き込まれてしまったケースもあります。固縛基準違反および積み付けの不備によって製品が落下した事故、他の車両の落下物により当方のトラクターのフロントガラスが損傷した事故も起こっています。積荷関連の事故については以前の記事「健康起因・ 過積載・飲酒の事故」をご参照ください。
固縛基準については、公益社団法人全日本トラック協会が作成した「鋼材積付け・安全輸送マニュアル」や「積荷企業」が制定した基準を遵守しなければなりません。

積付けや固縛、シート掛け時の事故を防止するポイント

定例訓練計画によって、固縛基準教育を二重、三重にもわたって実施します。走行中にシートが膨らんだり、剥がれないように十分固縛します。もちろんシートの不良による濡損事故に注意してください。荷締機は補助ワイヤーや「環」を利用し荷台フックに直接使用してはいけません。車上で、荷台の外側に背中を向ける作業は大変危険ですので、厳禁です。荷締機は「押し締め」が鉄則です。また、シートを伸ばし広げるときは、危険を回避するために可能な限り地上で作業を行うようにしてください。昇降設備、作業台、ハシゴなどの安全設備が設置されている場合は、必ず利用してください。安全な作業姿勢が取れるように、固縛材料および荷台上の整理整頓、清掃をして清潔に保つことを徹底しましょう。荷締機、ワイヤーなどの定期点検と管理状況の可視化と記録をとり、基準に従って交換や修理を行ってください。運転の途中休憩するときは、車両点検(一回り点検)とともに、積荷の点検を行います。

ドライバーの「積荷落下防止責任」

鉄鋼製品などの重量物には、集中荷重偏荷重になる製品も多く、積込者に対して具体的に積載位置を指示することが重要です。車両後方への製品の積み付けは、連結車両ではジャックナイフ現象を起こす可能性があり、プロドライバーとして積み付けの指導と監督が大切になってきます。車両は積荷の力が荷台の中心(積荷中心=積荷の総合重心位置)に働くように設計されているため、中心位置に積み付け、安全走行を実施してください。
道路交通法第75条の10では、積み付けが完了した後の「積荷落下防止責任」は、ドライバーが責任者となるよう定められています。
引用参照 鋼材等重量物輸送に携わるプロ運転者・管理者用ガイドブック 改訂版

健康起因・ 過積載・飲酒の事故


健康状態に起因する事故

事業用トラックによる交通事故は全体的に減少傾向にあります。しかし、脳や心臓疾患、体調不良など、ドライバーの健康に起因する事故はむしろ増加傾向にあります。公共の道路上で重量物輸送を行うドライバーの健康維持と健康管理を徹底することで、安全運行を確保しなくてはなりません。
例えば、心筋梗塞を発症したドライバーが、停車中の車両から意識不明の状態で発見されたり、ドライバーが蜘蛛膜下出血を発症して意識を失い、車両が道路外に転落した事故なども報告されています。

過積載による事故

過積載輸送は、車両性能や自然環境、道路などを悪化させると共に、法令遵守の視点からも重量物輸送の事業者としてあってはならない物です。
過積載は、車両の制動性能を悪化させ、重大事故に直結する非常に危険な行為です。過積載時には定量積載時よりも後部から押す力が大きくなり、ジャックナイフ現象を起こしやすくなります。さらには、バランスを崩しやすくカーブや右左折などでは強いアンダーステアーになり、横転を誘発する非常に危険な行為です。過積載走行は、下り坂では通常よりスピードが加速し、フェード現象やベーパーロック現象を引き起こしやすく、事故の確率が上がります。過積載は燃費の悪化を招き、NOx(窒素酸化物)を通常よりも多く排出します。また、道路や橋梁などに深刻な影響を与え、騒音など環境に対する負荷を増加させます。過積載は、エンジンやサスペンションなどへの負担が大きく、車両の寿命を縮めます。さらには、クリップボルトが折損し車輪が外れる事象や、タイヤが破裂する可能性もあり大変危険です。道路からの振動により、ブレーキパッドなどの摩耗が激しく、部品の修理や交換頻度が高まります。

飲酒運転

道路交通法65条「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」という規定を言うまでもなく、飲酒による重大事故は許すことのできない大犯罪です。「飲んだら乗らない」は社会人としての最低の常識であり、ましてや物流を職業とする者にとっては弁解の余地は皆無です。
飲酒運転は、脳や体への影響が顕著に現れます。例えば、動体視力が落ち、視野が狭くなるため信号の変化や路上の人や車の動きの見極めが遅れます。飲酒をすることで抑制が効かなくなり、理性が失われがちになるため運転に必要な判断力が低下してしまいます。スピードを出していても自覚できなかったり、乱暴なハンドル操作になりがちです。飲酒をすると集中力が鈍くなり、とっさの状況で変化に対応できなくなってしまいます。アルコールは運動をつかさどる神経が麻痺するため、ハンドル操作やブレーキ動作が遅れがちになります。運動神経が緩慢になることで体の平衡感覚が乱れ、直進運転ができずに蛇行運転をしたり、信号無視を起こしたり、カーブが曲がりきれなかったり、横断中の人を見落としたり、ハンドル操作を誤ったり、ガードレールや電柱に衝突するなどの悲惨な事故を招きます。
道路交通法で、「酒気帯び運転」とは、血液1ml中のアルコール分が0.3mg以上または呼気1l中のアルコール分が0.15mg以上含まれている場合を指します。例えば運転する前夜に深酒をしたとして、翌日のアルコール濃度が基準値以上であれば、酒気帯び運転とされます。体内に入ったアルコールは、一定時間血中に留まります。一般的には、体重70kgの男性が350mlのビールを1缶飲んだ場合、アルコールが分解されるまでに約2時間、500mlだと約3時間かかると言われています。女性の場合は体格が小さい場合が多いため、それぞれ更に1時間ほどアルコール分解にかかる時間が長くかかります。飲酒後何時間経過しても、アルコール血中濃度が必ずしも平常値に戻るという訳ではありませんし、アルコールが完全に分解されるまでの時間は個人の差も大きく、年齢や体質、その時の体調や飲酒量によって大きく左右されます。長時間の運行をする前夜や、仮眠前に寝つきをよくするために飲酒するドライバーもいますが、これが酒気帯び運転につながる大きな原因となっています。「酒酔い運転」に関しては、アルコールの影響によって正常な運転ができない状態での車両の運転のことを指します。双方ともに、プロのドライバーとして、社会人として決して許されるものではありません。お酒は責任を持って適度に楽しみましょう。

 

引用参照 鋼材等重量物輸送に携わるプロ運転者・管理者用ガイドブック 改訂版

事故を未然に防ぐ日常点検整備


前回、車両火災事故を防ぐポイントとして、点検整備が最も重要であるということをお話し致しました。そこで今回は、日常点検と点検整備、給油脂についてご紹介いたします。道路運送車両法第4賞では、日常点検整備、定期点検整備、点検整備記録簿の管理を規定しています。重量物輸送の車両は、点検整備を適切に実施し、整備不良に起因する事故や配達遅延などの防止に努めなければなりません。

日常点検:ブレーキ(制動装置)

1. 乾燥路をゆっくり走行してブレーキペダルを踏み、効き具合に以上がないかを確認する。
2. ブレーキペダルを踏み、話した時のブレーキバルブからの排気音に異常がないかを確認する。
3. ハンドル方式の駐車ブレーキは、ワイヤーの引きしろに異常がないかを確認する。スプリングブレーキ方式のものは、コントロールバルブを操作し、スラックアジャスタの作動に異常がないかを確認する。
4. エアタンクの凝水はないかを確認する。
5. エアタンクドレンコックに漏れはないかを確認する。
6. エアホースのエア漏れや亀裂、損傷はないかを確認する。
7. キャブ内トレーラー用ABSウォーニングランプの点灯、消灯に異常がないかを確認する。
8. 空気圧が正常に上がるかどうかキャプ内の圧力計で確認する。
日常点検:車輪(走行装置)

1. タイヤの空気圧は適正化どうかを確認する。スペアタイヤについては必要に応じて点検する。
2. タイヤに亀裂、損傷はないか確認する。
3. タイヤに異常な摩擦はないか確認する。
4. タイヤの溝の深さは十分あるか確認する。
5. ホイールナットの緩み、脱落、折損などの異常はないか確認する。
6. ホイールナット付近にサビ汁が出た痕跡はないか確認する。
7. ホイールナットから突き出しているホイールボルトの長さに不揃いはないか確認する。

日常点検:連結状態(連結装置)

1. カプラジョー、レバーブレーキカップリング、ジャンパホース、ジャンパケーブル、ABSケーブル全ての連結状態に異常はないか、漏れ、損傷はないかを確認する。
2. 灯火装置、および方向指示器の点灯、または点滅具合に異常はないか、レンズの汚れや損傷やないかを確認する。
日常点検:その他

1. 補助脚の作動に異常はないか、内筒の格納状態に異常はないか確認する。
2. 補助脚の操作ハンドルは正規の位置に格納されているか確認する。
3. 車両付属品の搭載状態に異常はないか確認する。
4. 運行において異常が認められていた箇所に異常がないか再度確認する。

日常点検の順序

まず一番始めに、運行において認められた異常個所の点検から始めます。異常の点検整備を怠ると、重大事故に直結してしまいます。ジャンパホース、ブレーキカップリングやカプラジョー車両付属品などはメーカーが指定している点検期間で点検してください。タイヤ、ホイールナット、点灯装備および方向指示器、ブレーキ各種、スペアタイヤなどは必ず毎日点検してください。

最後に

前回の「重量物輸送における接触事故や火災事故の防止」でもご紹介しましたが、車両火災の原因として報告されている事例は、日常点検整備で防げるものが多数あります。例として、リレーエマージェンシーバルブ内の水分凍結、ホイールベアリングの焼きつき、スプリングチャンバの劣化、駐車ブレーキの解除忘れ、チャンバ不良によるブレーキドラムの過熱、スプリングチャンバの劣化などが、車両火災事故の原因として報告されています。日々の点検整備が、このような重大な事故を直接的に防げることを心に留め、プロドライバーとしての自覚を持って運行に臨んでください。

引用参照 鋼材等重量物輸送に携わるプロ運転者・管理者用ガイドブック 改訂版

重量物輸送における接触事故や火災事故の防止


65歳以上の高齢者の交通事故は、特に死者数では最も事故が多発している世代です。重量物輸送においても、高齢者や子供の行動特性を理解して防衛運転に努めなければなりません。

高齢者、子供との接触事故

深夜、早朝、夕暮れ時は、高齢者の散歩中などに横断や飛び出しによる重大事故が発生することが多いです。高齢者の服装は黒が多く、多くのドライバーの判断が遅れる原因になります。高齢者の横断禁止道路での横断、斜め横断、信号無視、歩行速度が遅いことなどによる事故が増えてきています。歩行中のみならず、高齢者の運転による事故が多発しているので、一層の注意が必要です。子供のとっさな動きや道路への飛び出し、学校の付近や集団下校時の事故も発生しています。車の空走距離や制動距離を含めた停止距離に関わる理解を深め、安全運転を心がけましょう。

接触事故を防ぐポイント

自転車に乗った高齢者や子供の側方通行の場合、十分な間隔を取りましょう。高齢者や子供の集まるところ、学校や公園、通学路などは極力避けて走行するように注意してください。高齢者の運転する車両を発見した時は、当該車両を先行させるか、できるだけ近づかない運転を心がけましょう。高齢者や子供を見たら減速して動きを注視し、予測しながら思いやり運転に努めてください。その際、後続車の追突にも配慮してください。

二輪車との事故

二輪車は、四輪車に比べて小さいため、ミラーの死角に入ることが多く、また車間のわずかな隙間をジグザグに走行することがあり、発見が遅れて重大事故につながるケースがあります。二輪車はバランスを崩して転倒しやすい構造です。雨や落ち葉、積雪などの路面状況や、大型車の風圧で転倒し重大事故が起こったことが報告されています。二輪車は、急な進路変更を行うケースが多く、また、急ブレーキによって転倒する確率が高いです。

二輪車との事故を防ぐポイント

右左折時や側方通行における巻き込みに注意し、前方の状況を予測しながら防衛運転、危険予知運転に努めてください。できるだけ二輪車を先に通行させるか、最徐行して接触や転倒、急激な進路変更などを想定して、徹底して防衛運転を心がけましょう。

車両火災事故

貨物自動車の車両火災事故は、年間に約400件ほど発生しており、年々増加する傾向にあります。車両火災は、車載の消火器で消し止めることはほぼ不可能で、消防活動に夜長時間の通行規制や周辺への延焼など、社会に多大な影響を与えます。また、積み荷や車両の焼損など、荷主や事業者にも多大な損失が発生します。制動装置や車輪、車軸などの整備不良が車両火災の主な原因です。日常的な点検や点検整備によって車両火災の防止に努めましょう。駐車ブレーキの解除を忘れ、ブレーキドラムとライニングが接触したまま走行することで、ブレーキドラムとライニングの摩擦熱で火災が発生します。ホイールベアリング回転部位のグリス不足や破損による動作不良などの摩擦熱で火災が発生します。

車両火災事故を防ぐポイント

まずは、日々の点検と点検整備が大変重要です。リレーエマージェンシーバルブの作動不良や凍結がないか確認します。スプリングブレーキ(ブレーキチャンバー)のエア漏れも必ず確認しましょう。摺動部の作動不良がないかも点検してください。エア圧低下による非常ブレーキの作動はないか、駐車ブレーキの解除忘れはないか、運転時にも注意してください。車輪や車軸の給油脂の不足はないか、組み付け不良はないかも確認しましょう。日常的に点検と点検整備をきちんと行なっていれば、火災が起こる原因を防ぐことができます。

 

引用参照 鋼材等重量物輸送に携わるプロ運転者・管理者用ガイドブック 改訂版

重量物輸送における踏切走行時の事故防止対策


踏切事故は、ドライバーの死傷に直結するだけでなく、列車の脱線を引き起こして多数の乗客が死傷する可能性がある、大変危険な重大事故です。踏切内で脱輪してしまい、踏切先のスペースと自車の寸法認識の甘さにより、踏切内に閉じ込められる事故が発生しています。踏切走行時は、段差などによるエンストや脱輪の可能性が大きく、特に冬は、スリップ事故に特段の注意が必要です。

踏切走行時の事故を防ぐポイント

重量物輸送用の基準緩和車両は、特車許可経路の走行を厳守してください。許可経路から逸脱した踏切を走行してはいけません。路線の手前では必ず一時停止し、窓を開けて自分の目と耳で左右の安全を確認し、少し中央寄りを意識して走行します。重量物輸送用の車両は長く重たい車両であることを十分に認識し、踏切先のスペースを確認しながら通行しましょう。エンストを防止するため変速せずに、対向車や歩行者に注意し、脱輪しないように走行します。警報機が鳴り始めたら、遮断機が降りていない場合でも路線の手前で停止してください。

万が一踏切で立ち往生した時の措置

十分に気をつけて走行していても、踏切内で立ち往生してしまった時は迅速に正しい措置を行う必要があります。警報機のある踏切では、警報機に取り付けられてある押しボタン式の非常ボタンを、戻らなくなるまで強く押します。踏切支障報知装置(非常ボタン)の側面ランプの点灯後、直ちに最寄駅、警察に連絡します。非常ボタンのない踏切では、発煙筒を使用して列車の来る方向に走りながら合図します。列車の来る方向が不明な時は、周囲の応援を要請して列車に緊急通報の合図を行います。列車が近づいてきて踏切から離れる時には、列車の進行方向に進まないようにしてください。発煙筒は、昼間でも600m以上の距離で確認できる赤い炎を5分間以上燃焼します。大雨の時でも、発煙筒の筒を斜めに立てておくと燃焼します。JIS規格では有効期限は4年間です。発煙筒は、手に持つこと、地上に立てることも横にすることも可能です。火器に近づけるのは危険です。可燃物の側で使用しないようにしましょう。点火時には、筒先を顔や手に向けてはいけません。

後退時の事故

重量物輸送の車両は死角が多く、後退時の重大災害や接触事故が発生しやすい車両です。積み込み、取り卸ろしの現場の中には、狭くて混雑した場所や、公道での後退作業が発生することがあります。このような交通状況の中では、焦りが生じる場面も生じますが、プロのドライバーとして安全を最優先させ、後退時の事故は起こしてはなりません。どのような事故も、企業やドライバーの評価を落とすだけでなく、重大事故に直結することを忘れてはいけません。

後退時の事故を防ぐポイント

後退作業中に事故が多発しています。安全を期するために一旦車両から降り、目と足でコースの目標を確認します。バック運転の操作は慎重に最徐行で実施します。バックアイカメラは左右の死角があり、補助機能として利用するようにし、確認はドライバー自身が行いましょう。誘導者(無資格者を含む)がいる場合でも、ドライバーが責任を持って誘導者を過信せずに、運転操作を行いましょう。新規で納入する工場や新たな工事現場内で不安を感じる時は、必ず実測して確認しましょう。計測用巻尺は常時携帯して置くようにしてください。万が一後退作業が困難であると判断した場合は、事務所管理者と連絡し、指示を受けてください。

 

引用参照 鋼材等重量物輸送に携わるプロ運転者・管理者用ガイドブック 改訂版