月別アーカイブ: 2025年6月
トラックに乗って日本を旅する食材たち 〜食品輸送・物流の裏側〜

食卓を支える主役「トラック」
日本国内で流通する食品のうち、約97%がトラックによって運ばれていることをご存じでしょうか?
農村から都市部へ、港から市場へ、あるいは食品工場からスーパーマーケットへと、あらゆる食材がトラックによって運ばれています。
トラックはその柔軟な移動力と、細かなルート設定の自由度により、日本の「時間厳守」の食文化と非常に相性の良い輸送手段です。
食品輸送には「鮮度」と「温度」が命
魚や野菜、肉といった生鮮食品を運ぶ際に最も重視されるのが「鮮度の保持」です。このため、冷蔵・冷凍トラックの存在が欠かせません。
冷蔵トラックは、おおむね0〜10度前後の温度帯を維持して食品の品質劣化を防ぎます。冷凍トラックでは、−20度以下の低温を保ちながら冷凍食品やアイスクリームなどを全国に届けます。
また、温度だけでなく湿度管理も重要です。結露によって食品が劣化するのを防ぐため、湿度管理にも定温輸送の技術が活躍します。
ロジスティクスの現場は「時間との勝負」
たとえば、朝どれの野菜をその日のうちに都市部のスーパーに並べるには、夜中のうちに車庫からトラックが出発し、採れたての野菜を明け方には市場に運ぶ必要があります。そこから各店舗に配送され、開店時には棚に商品が揃っている―まさに分刻みの工程管理です。
こうした「時間指定配送」を可能にしているのが、トラックドライバーたちの高い運転技術とスケジュール管理の精度です。
物流の効率化と食品ロスの削減
食品物流では、ただ運ぶだけでなく「必要な分だけ、必要なときに、必要な場所へ届ける」ことも求められます。
食料品を扱う小売店やその輸送を担う企業では、フードロスを防ぐための工夫も行われています。輸送効率を高め、過剰在庫や売れ残りを減らすことで、環境への負担も軽減されます。
さらに、トラック輸送は災害時にも迅速な対応が可能なため、緊急時の食糧供給にも大きな役割を果たしています。
地域とつながる「地場物流」の力
都市部だけでなく、地方の食品輸送にもトラックは欠かせません。たとえば、朝採れ野菜や朝どれ魚介類が、地域の道の駅や直売所を通じて新鮮なまま販売されるのも、トラックによる迅速な配送体制があるからこそです。
地方では軽トラックが活躍するシーンも多く、小回りが利く車両を用いて、山間部や細い路地にも柔軟に対応しています。農家や漁業者の高齢化が進む中、こうした「地場物流」の機動性はますます重要になってきています。
また、トラック運送会社が地域の生産者と密に連携することで、「生産者の顔が見える流通」が可能となり、消費者からの信頼感も向上しています。これは単なる輸送ではなく、地域経済を支える大切な「流通インフラ」といえるでしょう。
新しい技術が変える食品物流の未来
トラックによる食品輸送の分野では、近年さまざまな新技術の導入が進んでいます。
たとえば、IoTセンサーによって荷室内の温度・湿度をリアルタイムで監視し、異常があればすぐにアラートを出すシステムがあります。これにより、より確実に食品の品質を保持することが可能になります。
また、自動運転技術の開発が進めば、将来的には夜間の定温輸送や、長距離の幹線輸送において人手不足を補う役割も期待されています。さらに、AIによる配車最適化や渋滞回避のルート選定なども進化しており、物流全体の効率が向上しています。
環境対策としては、電動トラックや燃料電池車の導入、アイドリングストップ機能、軽量パッケージ素材の活用など、持続可能な物流への取り組みも加速しています。
食を運ぶ責任と誇り
食品輸送に関わるドライバーや物流関係者は、単にモノを運ぶだけではありません。彼らが運ぶのは、人々の「生活そのもの」であり、「健康」「笑顔」「幸せ」ともいえるでしょう。
だからこそ、車両の衛生管理や清掃、温度確認、荷崩れ防止のための梱包チェックなど、細かな配慮が欠かせません。「安心・安全な食」を届けるために、見えないところで多くのプロフェッショナルが努力を重ねているのです。
食品輸送の仕事には、重責とともに大きな誇りがあります。次の世代にも伝えていきたい、尊い「食と物流のつながり」です。
岩瀬運輸機工では、食品工場で使用される大型機械の輸送も承っています。
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疲労は安全運転の大敵 〜一瞬の油断が取り返しのつかない事故に〜

目次
疲労という見えない敵に注意
トラックに限らず、ドライバーにとって、安全運転は最も重要な使命です。
しかし、長時間の運転や不規則な生活リズムは、疲労を蓄積させ、安全運転を脅かす大きな要因となります。
疲労は、「見えない敵」とも言えるでしょう。
自覚症状がないまま進行し、気づいた時には重大な事故を引き起こしてしまう可能性があります。
疲労は、私たちの心身に様々な悪影響を及ぼします。
集中力や判断力の低下、反応速度の鈍化などは、ほんの一例です。
これらの影響は、運転中のほんの一瞬の油断やミスにつながり、取り返しのつかない事故を招く可能性があります。
疲労がもたらす具体的な危険
注意力の低下と見落とし
疲労が蓄積すると、注意力が散漫になり、標識や信号の見落とし、歩行者や自転車の発見の遅れなど、重大な見落としにつながる可能性があります。
特に夜間や単調な高速道路などでは、この傾向が顕著になります。
判断ミスと操作ミス
疲労は、状況判断能力や適切な操作を行う能力を低下させます。車間距離の誤認、無理な追い越し、急ブレーキなど、危険な運転につながる場合があります。
また、ハンドル操作やギアチェンジなどの基本的な操作ミスも増加し、事故のリスクを高めます。
反応速度の低下と危険回避能力の低下
疲労により反応速度が鈍ると、危険を察知しても適切な回避行動が取れなくなる可能性があります。
特に、大型トラックは制動距離が長いため、反応の遅れが重大な事故につながる危険性があります。
居眠り運転
疲労の極限状態である居眠り運転は、最も危険な行為の一つです。一瞬の眠気が、自分だけでなく、周囲の人々をも巻き込む悲惨な事故を引き起こす可能性があります。
特に、トラックのような大型車両の場合、事故の規模も大きくなりやすく、周囲への影響も甚大です。そのため、ドライバーは常に自身の体調管理に気を配り、疲労を溜め込まないよう注意することが求められます。
安全運転を守るためには、疲労という「見えない敵」との闘いに打ち勝つ必要があります。ドライバー一人ひとりが疲労の危険性を認識し、積極的に対策を講じることで、安全な物流を実現できるのです。
疲労を防ぐための対策
疲労による事故を防ぐためには、まずドライバー自身も積極的な疲労対策に取り組むことが重要です。
十分な睡眠
睡眠不足は疲労の大きな原因となります。毎日、質の高い睡眠を十分に確保する必要があります。
適度な休憩
長時間運転をする場合は、こまめに休憩を取り、ストレッチや軽い運動をして体を動かすようにしましょう。
バランスの取れた食事
栄養バランスの取れた食事を摂ることで、疲労回復を促し、集中力を維持することができます。
水分補給
こまめな水分補給は、脱水症状を防ぎ、集中力低下を防ぐ効果があります。また、気分転換となって単調な運転から解放される効果もあります。
健康管理
定期的な健康診断を受け、体調管理に気を配りましょう。持病がある場合は、医師に相談し、適切な対策を講じることが重要です。
無理のない運行計画
無理なスケジュールは疲労を蓄積させます。余裕を持った運行計画を立て、時間に追われることなく安全運転を心がけましょう。
運送会社としての取り組み
運送会社ももちろん、ドライバーの疲労対策に積極的に取り組む必要があります。
適切な運行管理
ドライバーの労働時間や休憩時間を適切に管理し、過重労働を防がなければなりません。
安全教育
疲労の危険性や疲労対策について、ドライバーへの教育を徹底する必要があります。
健康管理支援
定期的な健康診断やメンタルヘルスサポートなど、ドライバーの健康管理を支援します。
車両の安全性能向上
衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報装置など、安全性能の高い車両を導入することで、事故リスクを低減できます。
まとめ
疲労と安全運転は、切っても切れない関係にあります。ドライバー一人ひとりが疲労対策を意識し、安全運転を心がけることが重要です。
また、運送会社も、ドライバーの健康と安全を守るための取り組みを積極的に行う必要があります。
岩瀬運輸機工では、ドライバーの安全を最優先に考え、様々な疲労対策や安全教育を実施しています。これからも、安全・安心な輸送サービスを提供できるよう、社員一丸となって努力してまいります。
岩瀬運輸機工について詳しくは《こちら》から
雨の日のトラック運転は大変! 知っておきたい安全対策 〜梅雨時期の安全運転・雨対策・視界確保など〜

はじめに
梅雨の季節になると、連日のように雨が降り続き、道路状況は悪化します。一般ドライバーにとっても、視界不良やスリップリスクが高まるこの季節は、特に注意が必要です。中でも、大型トラックと同じ道路を走る際には、その特性を理解し、適切な距離感とマナーをもって運転することが、事故防止につながります。
本記事では、雨天時における「トラックとの安全な付き合い方」を一般ドライバーの視点で解説します。
雨天時のトラックの挙動を意識しよう
・トラックの制動距離は長い
雨の日は路面が滑りやすくなるため、トラックは特に停止までに時間がかかります。トラックの直前での割り込みは厳禁です。十分な前方車間距離を保ち、トラックの動きを妨げない運転を心がけましょう。
・追い越しは慎重に
トラックを追い越す際は、トラックから直接目視はできずにサイドミラーに入る時間が長くなります。また、横風や水はねの影響を受けることも多くなります。雨の日は特に、視界不良で死角が増えるため、追い越しは素早く、安全な状況を見極めて行うことが必要です。
・後方を走るときも注意
トラックの後方を走ると、水しぶきによってフロントガラスが一気に濡れ、視界を奪われることがあります。また、テールランプが見えづらくなるため、適切な車間距離を保ちましょう。
トラックの視界と死角を理解する
・運転席から見えないゾーンが多い
トラックには広範囲な死角が存在します。雨の日は視野も狭まり、特に注意が必要です。雨天時はさらに助手席側や後方斜め後ろは見落とされやすく、接触のリスクが高まります。ウインカーを出しているトラックの側方にいる場合は、無理な追い越しを控えましょう。
・トラックの左折に注意
大型トラックは左折時に大きく膨らむ必要があるため、巻き込み事故の危険があります。交差点で並走するのではなく、十分な距離をとって後方で待機することが大切です。
雨天時の安全運転ポイント
▶︎ 早めのライト点灯
雨で視界が悪くなる中、トラックドライバーから見落とされないよう、早めのヘッドライト点灯が有効です。昼間でもスモールライトではなくロービームを使用しましょう。
▶︎ 速度抑制と車間距離の確保
雨天時は制動距離が伸びるため、通常よりも多めの車間距離を取りましょう。特にトラックの近くを走る際には、急ブレーキへの対応が遅れる可能性を考慮し、余裕ある運転を意識することが重要です。
▶︎ トラックの挙動に注意を払う
ブレーキランプの点灯、ウインカーの動きなどを早めに察知することで、安全な車間と走行位置を維持できます。トラックが減速し始めたら、自車も早めに減速する心構えを持ちましょう。
見えない努力への理解と配慮
雨の日でも、トラックは物流を支えるため、止まることなく走り続けています。積載物の保護や車両整備、運行管理など、見えない部分で多くの対策が施されています。私たち一般ドライバーがその存在を理解し、共に安全な道路環境を築く意識を持つことが、事故のない社会への一歩です
まとめ
梅雨時期の雨天運転は、すべてのドライバーにとって難易度が高まります。特に大型トラックとの関わり方には、普段以上の注意と配慮が求められます。
「見えない」「止まれない」「曲がれない」——トラックの特性を理解し、その動きに先回りして対応することで、安全な共存が可能になります。梅雨の季節も、お互いに譲り合い、思いやりある運転を心がけましょう。
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日本国内の貨物輸送実績の推移と自動車輸送の現状分析

日本の貨物輸送は、経済活動の基盤として重要な役割を果たしています。近年、少子高齢化や労働力不足、環境問題など、さまざまな課題に直面しています。今回は日本の貨物輸送実績の推移を、特に自動車輸送の動向に着目して詳しく見ていきます。
国内貨物輸送量の全体的な推移
国内の貨物輸送量(輸送重量)は、以下のように推移しています。
・2017年度: 約42億トン
・2018年度: 約41億トン
・2019年度: 約41億トン
・2020年度: 約38億トン
・2021年度: 約39億トン
輸送トンキロベースでは、以下のように推移しています。
・2017年度: 約4,520億トンキロ
・2018年度: 約4,460億トンキロ
・2019年度: 約4,410億トンキロ
・2020年度: 約3,850億トンキロ
・2021年度: 約4,040億トンキロ
【輸送トンキロとは?】
輸送トンキロ(ton-km)とは、「貨物の輸送量」と「輸送距離」を掛け合わせた単位で、輸送の総合的な規模を示す指標です。例えば、1トンの貨物を100km輸送すると100トンキロとなります。輸送の効率性や経済規模の分析に用いられます。 これらのデータから、2017年度から2019年度までは概ね横ばいで推移していましたが、2020年度に約3億トンの減少が見られ、その後2021年度には若干の回復が見られます。
輸送モード別の動向
輸送トンキロベースで見ると、各輸送モードのシェアは以下のようになっています。
・自動車輸送: 全体の約5割を占める主要な輸送手段。しかし、近年はドライバー不足や労働時間規制の強化により、輸送能力の不足が懸念されています。
・内航海運: 約4割を占め、大量輸送や長距離輸送に適しています。しかし、近年はシェアの低下が見られます。
・鉄道輸送: 全体の約5%程度を占める。環境負荷が少なく、大量輸送に適しているが、シェアは低水準にとどまっています。
・航空輸送: 全体に占める割合は極めて小さいが、高付加価値商品や緊急性の高い貨物の輸送に利用されています。
自動車輸送の実績推移
日本の貨物輸送の中で、自動車輸送は最も大きな割合を占めています。日本交通政策研究会の「貨物自動車の輸送実態」によると、車種別の輸送重量は以下のように推移しています。
・2017年度: 約2,450億トンキロ
・2018年度: 約2,460億トンキロ
・2019年度: 約2,470億トンキロ
・2020年度: 約2,130億トンキロ
・2021年度: 約2,240億トンキロ
2020年度の大幅な減少はCOVID-19の影響が大きいと考えられます。2021年度には若干の回復が見られますが、依然として2019年度の水準には達していません。
課題と今後の展望
労働力不足への対応
ドライバー不足は深刻な問題であり、自動運転技術の導入や労働環境の改善が求められています。日本政府は東京と大阪間で自動化された貨物輸送回廊「コンベヤーベルト道路」の構築を計画しており、2027年から2028年に試験運行を開始し、2030年代半ばまでに第1期区間での運用開始を目指すとしています。
環境負荷の軽減
輸送手段の見直しや効率化により、二酸化炭素排出量の削減が求められています。鉄道や海運の活用、エコドライブの推進などが効果的とされています。
まとめ
日本の貨物輸送は、多様な課題に直面していますが、技術革新や政策の導入により、持続可能な物流システムの構築が期待されています。今後もデータに基づく分析と柔軟な対応が重要となるでしょう。
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参考文献
国土交通省「貨物輸送の現況について(参考データ)」(https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/content/001622302.pdf)
「自動物流道路の検討状況」(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001758739.pdf)