トラックドライバー、トレーラドライバーの皆さんは、荷物を運ぶ時にどのような積み付けを行っていますか?
しっかりとした積み付けは、荷崩れを防止しますが、ではどうして荷崩れは起こってしまうのでしょうか。
トラック(以下、トレ−ラを含む)の走行は、“地震の連続発生”のようなものです。
トラックの積荷に加わる振動・衝撃を“地震の震度”に例えると、
「出発。前後左右の安全を確認し、静かにアクセルを踏み込む。」
それでも積荷の立場からみると、“震度2の軽震”にあったようなものであり、これが乱暴に急発進した場合は、“震度7の激震”におそわれたことになります。
トラックが走り出すと、積荷は絶えず大小の地震に見舞われることになります。
舗装の良い道路であれば“震度2の軽震”程度の上下動。
道路工事中の段差、橋と両岸の土床との継ぎ目、マンホールのふたの乗り越え等の道路の凹凸は、積荷には“震度4の中震〜震度7の激震”となって上下方向にゆさぶられるのです。
次に、左から右にカーブしているS字型の長い下り坂。
カーブはきついが見通しは良いのでついスピードが出てしまいますよね。
たとえば、曲線半径100mの左に曲がるカーブを速度50km/h で走った場合、積荷は右側方向に引張られる力(遠心力)を受け、その力の強さは“震度5の強震”に相当します。
また、同じ100mのカーブを速度60km/h で走った場合に積荷に加わる遠心力は、“震度6の烈震”に相当します。
市街地に入って、信号待ちで停車。通常のブレーキ動作であれば“震度2の軽震”程度。ちょっと、ぼやっとしてブレーキを踏む時期がおくれると、“震度4の中震”となります。
そして、曲り角、駐車車両の陰から子どもや自転車の飛出しで“危ないっ!”と、急ブレーキを踏んだ時に積荷の受ける衝撃は、“震度7の激震”以上であり、積荷は車の前方に強く押し出されるのです。
以上述べたように、積荷の身になると、トラックの走行中には大小の地震が連続して押し寄せてくるのと同じ状況に置かれています。
地震と走行中の振動・衝撃とを同一視することは難しく、事実、両者の違いをあげると、振動の周期と振動の方向性の二点で異なっています。
トラックの走行中に発生する振動・衝撃の方向は、路面の凹凸からくる上下動と、加速・減速・ブレーキによる前後動、それにカーブ走行時の遠心力による左右動と、これらがすべて重複して積荷に加わってきます。
とくに、走行中の上下方向の振動は、積荷とトラックの床面の間や、積荷どうしの滑りに対する抵抗力を低下させるので、走行中の積荷は静止時にくらべて非常に荷崩れし易くなります。
一般的に、いつどのくらいの大きさの地震が発生するのかを予知することは、非常にむずかしいですよね。
しかし、トラックの積荷の立場で考えてみれば、走行中に連続して地震に遭遇することは、明白な事実であり、その大きさも予測できています。
したがって、走行中は必ず大小の地震に遭遇するのであるから、それによって生じるであろう荷崩れを防止する対策は絶対に必要なのです。
荷崩れを防ぐには
・貨物の積付け
・貨物の固縛
・運転方法
の三つが組み合わされて実行されなければ効果は上がりません。
前述したように、トラック走行中には、いつも震度4以上の地震におそわれることになるので、積付けをきちんとしただけでは荷崩れを防止できません。
また、出発前にいかにしっかりロープ等で固縛しても、積付けのやり方が悪いと、走行中の振動・衝撃で積荷の移動・変形により隙間を生じ、ロープにゆるみが出て、これがさらに荷崩れを誘発することになります。
したがって、積付けも固縛も荷崩れ防止の重要ポイントです。
次に、運転方法も重要な要素です。
走行中に大小の地震に遭遇することは避けられないとしても、急ブレーキ、急発進、急旋回走行等の回数が多ければ多いほど、それによって積荷の変形、固縛のゆるみ等も増大され、荷崩れ発生につながってきます。
荷崩れを起こさないためには、安全運転を心がけることが大切ですね。
積み付けをしっかり行い、余裕をもってトラックやトレーラを運転しましょう。
引用参考:安全輸送のための積付け・固縛方法