トレーラーは非常に大きな車体です。
かつ、その大きなトレーラーに重量物を積載し運搬します。
トレーラーの特性をしっかりと認識し、安全運転を行いましょう。
ジャックナイフ現象
トレーラは連結車両であるため、急ブレーキなどでトラクタ部分とトレーラ部分のバランスが崩れて連結点で「くの字」の形に折れ曲がる事があります。
その形がジャックナイフと似ていることから「ジャックナイフ現象」と呼ばれています。
ジャクナイフ現象が発生する要因としては、
のケースです。
特に、カーブや下り坂を走行するときや、路面が濡れていたり積雪の場合等は、減速を最重視するとともにハンドル操作やブレーキ操作を慎重に行わなければなりません。
トレーラスイング現象
トレーラが進路外側(あるいは対向車線)に大きく振られる現象で、トレーラ側のタイヤがロックした時に起きます。
道路の状況に適合したブレーキをかけ、空車時は必要以上に強いブレーキをかけてはなりません。
「プロ運転者」は「タイヤを転がすように減速運転すべき!」と表現しています。
プラウアウト現象 (トラクタフロントロック現象)
トラクタの前輪がロックして、スリップした状態となりトラクタとトレーラが一直線になってカーブから外れて直進状態になる現象です。
ブレーキを解除しハンドル操作で修正しましょう。
カーブや交差点の右左折時、車線変更時などは、ブレーキやハンドル操作を慎重に行う必要があります。
フットブレーキ
トラクタ部分とトレーラ部分のすべての車輪にほぼ同時に作動します。
海外メーカーのなかには、作動時間差を設定しているところがあるようです。
トレーラブレーキ
トレーラ部分にのみ作動させるもので運転席のレバーで操作します。
走行中、排気ブレーキを作動させた時のトレーラの押上げ(突き上げ)防止が主な使
い方です。
また、信号一時停止時は駐車ブレーキの代わりに使用したり(フットブレーキの併用)、上り坂での坂道発進時や、下り坂での押上げ防止(ジャックナイフナイフ現象)等に利用します。
エマージェンシーブレーキ
トレーラ部分に作動する非常ブレーキで、ブレーキ・エア圧の低下時やエマージェンシーラインが破損した時に、安全のため自動的に作動します。
排気(エキゾースト)ブレーキ
トラクタの駆動軸に作動させるもので運転席のレバーで操作し、エンジンブレーキの一種です。
一定回転数以下になると自動的に作動しなくなるため、停止したらスイッチを解除しましょう。
雨や雪道、凍結路など滑りやすい路面では、ジャックナイフ現象を起しやすいので使用しない方が良いでしょう。(下記のリターダーも同様です)
仕組みはエンジンの排気管内の弁を閉じることにより、排気ガスが抵抗となりピストンの動きを鈍くしタイヤの回転を抑制することになります。
リターダー
広義のリターダーとは排気ブレーキ、エンジンブレーキ、リターダーのことです。
これらは同じ操作で作動します。
スイッチを入れておけば、走行中にアクセルから足を離すだけで自動的に効き始めます。
リターダーはすべてエンジンブレーキの効きをサポートするもので、駆動軸のみに効果があります。
一般的にリターダーとは、電磁式、油圧式(流体式)、永久磁石式などによってプロペラシャフトの回転に抵抗を加え、制動力を得るものです。
強力な制動力が得られるので、多用するとエアーが不足したり(流体式)、滑りやすい路面で後輪がスリップする原因になるので注意しましょう。
パーキングブレーキ(駐車ブレーキ、サイドブレーキ)
トラクタ部分にはレバー式、トレーラ部分にはねじ式のものが装備されそれぞれ独立して操作し作動させます。
マキシブレーキ
トラクタ後輪に掛かるスプリングブレーキです。
最近ではトレーラにもスプリングブレーキが付いている場合は、連動するようになっています。
基本的には停車時における補助駐車ブレーキで、スイッチのON/OFFで操作しています。
取扱説明書には「パーキングブレーキの補助として使用」と記載されています。
「マキシ」「マキシマ」「スプリング」とも呼ばれています。
スプリングブレーキ
トラクタ部分のパーキングブレーキであるとともに、ブレーキ・エア圧の低下時に自動的に作動する非常ブレーキのことです。
最近はトレーラ部分にも装着されつつあります。
トレーラーはその特性からたくさんのブレーキシステムを搭載し、制御しています。
適切にトレーラーで安全運転を行いましょう。
引用参考 鉄材等重量物輸送に携わるプロ運転者・管理者用ガイドブック