重量物は大型トラックやトレーラーにて運搬されます。
とくに大きな鉄骨やバラバラに出来ない精密機器などは、基本的に大型トラックやトレーラーでないといっぺんに運ぶことができません。
特殊車両通行許可制度と保安基準
一般的制限値を超える車両は特殊車両通行許可の取得が必要です。
道路運送車両法に基づき、車検証を受けた車両は、原則、「道路」を通行することが可能となりますが、道路法・車両制限令の基準を超えた車両は、「道路」を通行することができません。
「鉄鋼輸送」に使用する車両のほとんどは、車両制限令の一般的制限値を超えるため、そのままでは、「道路」を走行することはできません。
しかし、「道路」は、社会・経済活動を支える最も重要な基礎施設のため、「道路」と車両との間に調和を持たせる必要があることから、必要な条件を付して、車両制限令で定める車両諸元の最高限度を超える車両の通行を許可することができることとなっています。(特殊車両通行許可制度)
特殊車両通行許可は、車両の重量・寸法や輸送ルートによって必要となることから、道路運送車両法・保安基準を超えない基準内車両や新規格車(増トン車)も、道路状況によっては、通行許可が必要となります。
特殊車両通行許可は、個別車両毎・走行ルート毎に、「道路情報便覧」等に基づき通行の可否が判断され、許可される場合でも、必要な通行条件が付与されます。
また、貨物積載状態によっては、道路交通法に基づき、発地警察署で制限外許可を取得する必要があります。
各運輸局長から道路運送車両法・保安基準の規定に基づき車検証を交付された車両であっても、実際に「道路」を通行するためには、「道路法・車両制限令」に基づいた特殊車両通行許可を受けなければ「道路」を通行することができない場合があることは、前節で述べましたが、実際の運用では、以下の問題点が顕在します。
特殊車両通行許可は、橋梁等の強度や交差点やカーブの形状と車両の諸元(長さ・幅・最遠軸距・軸重等)により、許可内容が変わりますが、車両や道路の外観だけでは簡単に判断できないことから、荷主はもちろん実際に申請する「事業者」にも、制度の理解が困難になっています。
「道路」は、その構造が一定ではなく、また、橋梁等の強度に差があることから、同一経路でも特殊車両通行許可の条件が異なります。
そのため、最終的には、最も厳しい条件が全輸送区間に付与される場合が多いのです。
このように、特殊車両通行許可で認められた重量は、通行する道路状況により変化することから、車検証に記載されている最大積載量との乖離が発生します。
資料:国土交通省関東地方整備局
特殊車両通行許可の見直し(連結車両全長)
平成27年6月1日の特殊車両通行許可基準の見直しにより、下記の条件に適合するセミトレーラ連結車の車両全長が18mに引き上げられました。
保安基準
道路運送車両法により、保安基準を超えた車両は、原則、道路を通行できません。
ただし、各運輸局長が認定した場合は、基準の適用が除外されます。
保安基準緩和の特例
平成27年5月の保安基準改正により鉄鋼輸送の主体である「バラ積み緩和車両」(特例8車種)は車両総重量36トン、車両全長(連結装置中心からトレーラ後端まで)13mを限度に基準緩和認定の必要のない「基準内車両」の扱いに変更されました。
「鉄鋼輸送」に使用されるのは、主にあおり型、スタンション型、船底型の3車種です。
また、ポール・トレーラや全幅2.5m以上のトレーラ等は保安基準の緩和が必要な「基準
緩和車両」で特例8車種に含まれません。
(使用過程車の取り扱い)
今回の保安基準改正で一定の要件を満たす使用過程車の増トン等も構造変更申請・現車審査等のうえ基準内車両として登録可能となりました。
重量物の特殊運搬には知識と技術が伴います。
まずはしっかりと知識をつけ、安全に実施できるようにしましょう。
引用参考 鉄材等重量物輸送に携わるプロ運転者・管理者用ガイドブック