年々厳しさを増す日本の夏。猛暑日は当たり前、最高気温が35度を超える日も珍しくなくなってきました。そんな中で、道路を走るトラックドライバーたちは、強い日差しと高温の車内という過酷な環境にさらされています。
「トラックも熱中症になるの?」と思われるかもしれませんが、実は車両の管理も含めて、夏の安全運行にはさまざまな工夫が必要です。この記事では、トラック輸送の現場で実践されている対策や、一般ドライバーの方にも参考にしていただけるポイントを紹介します。
なお、2025年6月1日より事業者は職場における熱中症対策が義務付けられています。トラックドライバーも例外ではなく、輸送業界でも制度に沿った体調管理や作業環境の見直しが求められています。
猛暑の中を長時間走行するトラックドライバーは、直射日光・高温・湿気により、体温調節が困難な状況に陥りやすくなります。加えて、荷積みや荷下ろしといった重労働を伴うことも多く、体力を大きく消耗するのです。
とくに注意が必要なのは、以下のような状況です:
・ 炎天下の荷積み下ろし作業や確認作業
・ アイドリングストップによって夏場の休憩時に冷房が使えない
・ 長時間の運転による脱水と集中力の低下
こうした条件が重なると、ドライバーが体調を崩し、運転ミスや事故につながる可能性が高まります。したがって、熱中症対策はドライバー個人だけでなく、輸送業全体の「安全対策」として非常に重要なのです。
まず注目すべきは「車両側の工夫」です。以下のような対策が現場で実践されています。
・窓の日除けと断熱処理
休憩時間などの停車中は遮熱性のある素材を使ったサンシェードやカーテンなどを活用して、直射日光の侵入を防ぎます。
・断熱性の高い座席シートカバー
シートの熱吸収を防ぐ冷感素材のカバーや、送風機能付きのシートを導入することで、長時間の運転でも蒸れや暑さを和らげます。
・定期的なエアコンの点検
夏場は冷房の不調が事故リスクにつながるため、フィルターの清掃や冷媒の補充などを定期的に実施します。
車両環境だけでなく、ドライバー自身の体調管理も重要です。特に以下の基本を徹底することが推奨されます。
・水分補給は「こまめに・少量ずつ」
「喉が渇いたと感じた時点では遅い」と言われるように、定期的な水分補給が必要です。できればスポーツドリンクなど、塩分も補える飲料が効果的です。
・塩飴や経口補水液の活用
汗を大量にかくとナトリウム不足になり、頭痛やけいれんの原因になります。塩飴や経口補水液を常備しておくのがおすすめです。
・休憩は無理せず「こまめに」
長距離運転中は、高速道路のSA・PAを活用して2時間に1回は休憩を取るようにしましょう。熱中症の初期症状(頭がぼーっとする、めまいがする)を感じたら、すぐに運転を中断する勇気も必要です。
熱中症対策を現場任せにしないために、企業の運行管理者の役割も大きくなっています。以下のような管理体制が効果的です。
・ 出発前の体調チェックやアルコール検知に加えて、熱中症リスクの確認
・ 水分や塩分補給を呼びかけるメッセージを毎朝配信
・ 特に気温の高い地域や日時を走行する際の注意喚起や、荷物の積み下ろしの発生時間帯を含めた運行時間の調整
こうした取り組みによって、ドライバー任せではなく、チームとしての安全運行体制が整います。
もちろん、熱中症対策はトラックに限らず、すべてのドライバーにとって重要です。以下のようなポイントを押さえておくと、誰でも安全なドライブを楽しめます。
・ 夏場の車内は50度以上にも
炎天下の駐車中、車内温度はわずか30分で50度近くになることがあります。子どもや高齢者、ペットの放置は厳禁です。
・日中の運転を避けて朝晩に移動を
高齢者や乳幼児、体調が悪い人がいる場合など、可能であれば、気温が下がる朝や夕方の時間帯を選んで移動しましょう。
・車に飲料・冷却グッズを常備
凍らせたペットボトルや冷却タオルを用意しておくと、緊急時にも役立ちます。
熱中症は命に関わる危険があるものの、適切な対策を講じていれば防げる症状でもあります。「暑さは仕方がない」と我慢せず、日々の備えと意識が大切です。
夏の道路を安全に走るためには、トラックも乗用車も、車両とドライバーの両面での熱中症対策が欠かせません。
テクノロジーや運行管理の工夫に加えて、一人ひとりが「自分の体調に敏感になること」が、事故の防止につながります。これからの暑い季節、すべてのドライバーが安全に、そして快適に走行できるよう、今から備えを進めていきましょう。
岩瀬運輸機工では、ドライバーの健康管理を第一に考え、日々の運行に取り組んでいます。
↓↓ 岩瀬運輸機工について詳しくはこちら ↓↓