精密機械や大型設備、重量機器の輸送において、最も重要な工程のひとつが「通行ルートの確保」です。
輸送物が大型化するほど、通れる道は限られます。高さや幅、重量に対する道路の制限をクリアしながら、安全かつ確実に目的地へ届けるためには、専門的な知識と事前準備が欠かせません。
今回は、岩瀬運輸機工が長年の経験を通じて培ってきた、特殊車両輸送におけるルート確保の技術と工夫についてご紹介します。
道路には「通れない道」が多く存在しています。その理由の多くは、高さ、幅、重量に関する通行制限にあります。
例えば、高さに関しては、高架橋やトンネル、電線、標識などの構造物との接触を避けるために、3.8メートル以下といった制限が設定されている道路があります。幅についても、対向車線の安全確保や歩道との干渉を避ける目的で、3.0メートル以下などの制限が設けられることがあります。さらに、重量制限については、道路や橋梁の構造に応じて定められており、20トン以下でなければ通れない区間もあります。
こうした制限は、道路交通法や道路運送車両法の規定に基づいており、これらを遵守しないまま輸送を行えば、法令違反だけでなく、安全面でも大きなリスクを伴います。
・現地調査で細部まで確認
岩瀬運輸機工では、まず輸送ルートに関して徹底した現地調査を行います。実際に車両が通行する道路を訪れ、通過予定の高架や陸橋の高さ、交差点やカーブの形状、電柱や標識の配置、道路の幅員や舗装の状態などを綿密に確認します。
この実地調査によって、事前に潜在的なリスクを把握し、必要な対策を講じることが可能になります。
・車両の選定と輸送シミュレーション
次に、輸送する荷物の寸法や重量、重心位置などをもとに、最適な車両を選定します。たとえば、背の高い荷物を運ぶ場合には、荷台の高さを抑えた「低床式トレーラー」を使用し、狭い交差点が多いルートには、後輪ステアリング機能を備えたトレーラーが適しています。
また、輸送中の振動を軽減する必要がある精密機器については、すべての車輪にエアサスペンションを搭載した車両を選ぶことで、荷物への負担を軽減できます。必要に応じて、走行軌道や積載角度のシミュレーションを行い、輸送中の安全性を確保する設計を事前に行います。
・特殊車両通行許可の取得
車両とルートの選定が終わると、次は国土交通省および各自治体に対して「特殊車両通行許可」の申請を行います。
この許可は、特定のサイズや重量を超える車両が一般道路を通行するために必要な制度です。通行可能な道路や橋梁の情報に基づき、通常とは異なる輸送条件に対して個別の許可を得る必要があります。
場合によっては、1本のルートでは許可が下りず、複数区間に分けて申請する「経路分割申請」が必要になることもあります。また、制限を一時的に緩和する「特認」や、深夜帯など特定の時間帯だけ通行を許可する条件が付くケースもあります。申請から許可取得までには数週間から1カ月以上かかることもあるため、早めの準備が極めて重要です。
・輸送当日の安全管理
実際の輸送当日は、安全運行を支える体制を整えます。岩瀬運輸機工では、安全管理を担うスタッフや誘導員が現地に同行し、交差点の通過や橋梁の進入、周囲の交通との調整などをリアルタイムでサポートします。
また、車両には「Gロガー」と呼ばれる衝撃計測装置を搭載し、走行中にどれだけの振動や衝撃が発生したかを記録しています。これにより、輸送後の品質確認やリスク分析にも役立てています。
岩瀬運輸機工ではこれまで、さまざまな条件下での大型輸送に対応してきました。高さ制限のある都市部への納品や、橋梁の耐荷重制限があるルートを通過しなければならない場面も少なくありません。
こうした難条件に対しては、既存ルートの再検討や、深夜帯の通行許可取得、電線や道路標識などの管理者と連携した事前調整など、現場に応じた柔軟な対応が求められます。
机上の計画だけでなく、実際の道路環境や法規制を加味したリアルな運用力こそが、輸送成功のカギとなるのです。
大型トレーラーによる輸送は、単に荷物を載せて運ぶだけではありません。通行ルートの選定から許可の取得、そして当日の安全運行まで、すべての工程において専門的な判断と技術が必要です。
岩瀬運輸機工では、長年の実績と現場対応力を活かし、「通れない」を「通せる」に変えるためのノウハウを日々磨き続けています。
「この荷物、どうやって運べばいいのか?」とお悩みの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
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