街を行き交うトラックやトレーラは物流の担い手として 現在の私たちにはごく当たり前の認識です。しかしこの「物流」の始まりは一体どのようなものだったのでしょうどのように発展してきたのかを見ていきたいと思います。●物流の始まり●☆江戸時代厳密な意味での「物流」とは異なりますが、江戸時代には 生産地から消費地への物の流れがある程度確立されていたようです。その当時、陸路は舗装もされていなかったため、短距離の移動の場合に限っては 小型の荷車を利用していた程度にすぎず、大量の物資を輸送するとなると水運を利用するのが当たり前だったそうです。河川、湖沼といったの水面を利用した内陸水運は 非常に発達し、建築資材である木材や農産物は 船などによって運ばれ水辺には荷受けのための河岸が設けられていました。☆1950年代戦後まもなくの日本の道路は 都心部を除くとまだまだ未舗装でスムーズな走行が難しく、さらに人力に頼る荷役は丁寧な作業とは言えず、結果として生産物や荷物の破損が多く 非効率的であることはもちろん梱包にかかるコストが一番かかってしまう状況であったようです。☆「Physical Distribution」そもそも かつての日本では物の移動や、保管、梱包などの作業を一連の活動と認識しておらず、生産や流通の部分的な付帯作業として処理されていました。しかし、高度経済成長期になると、大量消費の時代の到来により輸送や保管の量が急激に増え、これまでのような処理方法では対応しきれず、円滑でスムーズな流通が必要となり、早急な課題になってきました。そこで、物流の先進国であるアメリカに視察団が送られました。その視察団とは「流通技術専門視察団」といい、この視察団が報告の際に使用した用語が「Physical Distribution(物的流通)」であり、初めて物流の概念ができた時でもあります。☆視察団の報告と提言アメリカへ渡った「流通技術専門視察団」の報告書には日本が検討するべき事柄、主に下記の7つが 提言されています。①「流通技術」という概念の普及徹底を図ること。②「流通技術」の公共性を認識し、これが改善に関係者が協力すること。③「流通技術」の基盤として荷役の機械化、合理化を図ること。④「流通技術」の発展のため荷造・包装の改善を図ること。⑤「流通技術」の発展は道路政策とも密接な関係にあることを当事者は認識せねばならない。⑥「流通技術」の発展にはターミナル施設の近代化が不可欠である。⑦「流通技術」の合理化には、共同輸送の実現がのぞましい。●物流のこれから●戦後、「物流」という概念が誕生しそれまでは それぞれ作業が発生する箇所で担ってきたものが物流関連業務をひとまとめに管理するように変化したことから日本の経済発展を支えながら 物流も飛躍的に進化してきました。しかし、現在では人口減少、高齢化が進み、景気も後退、多品種少量生産・消費が当たり前になってくると、利益確保のために生産と流通が一体となって物流の最適化を図っていく必要が生じています。物の生産の現場では自動化や機械化が進んでいる現状に対して、物流ではいまだに多くの部分を人の手に頼っています。ECサイト等の利用者は増加しているにもかかわらず トラックやトレーラの運転手不足など人口減少や高齢化が進むにつれ さらなる労働者不足が深刻な問題になっていきます。今後もいっそうの労働力の売り手市場化で賃金の高騰は避けられません。2016年には 物流業界が抱える課題の解決を促すような各種優遇措置、資金面の支援などを盛り込んだ「改正物流総合効率化法」が閣議決定していますが、今後もこれらの法改正に加え、産業用ロボットによる自動化、ハンディターミナルなどによる情報管理の自動化などが課題となるでしょう。