重量物輸送に従事している車両が起こす交通事故は、速度と重量及び固縛方法に起因した事故が圧倒的に多いことから、事故が発生するとその衝撃力と破壊力は一般車両とは比較できないほど大きくなり、重大な災害につながる可能性が高くなります。特に、交差点やカーブで積載物が落下したり、車両が横転したりする事故は、「加速度は速度の二乗、加えられた大きさに比例する」という基本認識の欠如にあり、管理者は固縛基準の厳守と速度オーバーをしない危険予知運転の重要性を徹底的に教育・指導し、プロドライバーを育成する必要があります。
停止距離は空走距離+制動距離であり、スピードを出せば出すほど停止距離は長くなります。雨天や積雪などの路面状況においては、減速して運転し、長めの車間距離の確保を徹底しなければなりません。例えば、25.520kgの貨物を積載した車両が半径20mのカーブを時速30kmで侵入した場合の力のかかり方と、同量の貨物を積載した車両が半径20mのカーブを時速40kmで侵入した場合の力の場合を比べると、速度が10km(約30%)増えただけで、力は1.8倍かかります。このように、速度と力の関係は非常に密接であり、少しの速度超過でも大事故につながる可能性が高いことを認識し、速度低減と確実な固縛を心がけた運転を行わなければなりません。
・重量物輸送用のセミトレーラーはキングピンで連結されている車両であり、トレーラーの特性からもスピード超過が交通事故や品質事故に直結することを常に心に留めて運転に臨みましょう。
・人間の動体視力は、スピードが速くなるほど低下します。静止である状態の視野の広さは200度程度ですが、スピードを出せば出すほど視野は狭まります。40km/hで100度、100km/hで40度ほどに狭まります。この観点から、スピード超過運転は重量物輸送には厳禁です。
・走行速度を常時チェックする習慣を持ち、交通事故と品質事故の防止に取り組みましょう。
・車間距離は60km以下の速度では、走行速度から15kmを引いた車間距離を厳守します。60km/hでは45m、50km/hでは35mとなります。
・重量物輸送においての車両は、ホイールベースの長さや連結車両の特性、重量や速度に関わる加速度などの変化により、交差点での製品落下事故や重大事故が発生しています。交通事故の半数を占める交差点は、重量物輸送にとっても最重点危険地帯と考え、悲惨な事故事例を教訓に気持ちを引き締め事故防止に努めましょう。
・交差点では、侵入前に安全確認を行い、ブレーキペダルに足を置いて常に危険に備えてください。
・右左折は最徐行を厳守(10km/h以下)とし、目視をはじめバック・ミラー、サイド・ミラー、およびアンダー・ミラーで側面や直前、後方の安全を確認します。
・信号機の黄色を確認した時は、十分に車間距離を確保するために、基本的には停止します。
・青信号発進時は前後左右に注意を払い、前方の車の発信を確認してからスタートします。
・横断歩道は全て、一時停止を原則とします。歩行者や自転車がいる場合は、横断歩道の手前で一旦停止して横断を待ちましょう。
・車両の陰からのバイクなどの走行を見失わないように資格を注視する予測防衛運転を行うよう心がけてください。