「エコドライブ」はご存知でしょうか?
プロのトラック、トレーラドライバーの皆さんはもちろん知っていらっしゃるかと思います。
エコドライブとその効果について、基本の部分を復習していきましょう。
エコドライブとは、
・環境にやさしい運転による環境保護、資源保護、経済的利益の追求
・穏やかな運転を心掛けることによる安全性の追求
をしようとする運動に由来しています。
すなわち、排出ガスの抑制、事故防止、経営コスト削減など「環境」、「安全」、「経営」の3つの効果を期待するもので、環境対策の中でも重要な取り組み課題として位置づけられているのです。
自動車から排出される主な大気汚染物質のうち、
・窒素酸化物(NOx)→ 約8割
・粒子状物質(PM)→ すべて
がディーゼル車から排出されています。
こうした大気汚染物質は、大都市や主要幹線の周辺住民に、呼吸器系疾患などの形で健康に影響を及ぼすとされていて、今や大きな社会問題となっています。
エコドライブの基本は、穏やかな運転に徹することです。
すなわち、
・急発進、急加速を避ける
だけでなく、
・発進・停止回数そのものを抑えるため、先を見越した予知運転をする
ことで、これが事故防止、とりわけ追突事故の防止に大きく役立つことがわかっています。
エコドライブにより事故を未然に防止できれば、事故そのものだけでなくその処理にかかる損失や費用の削減にもつながります。
燃料費は、人件費に次いで占める割合の大きな経費です。
エコドライブの徹底により環境対策の貢献だけでなく、コスト削減などの経営上のメリットも期待できます。
車両をスタートするときの急発進、急加速は、通常の走行に比べきわめて燃費が悪くなります。ゆっくり加速し早め早めにシフトアップしていくことが大切です。
〔ポイント〕
ディーゼル車は、低回転域により大きいトルクを設定できるため、重い荷物を積んでもエンジンの回転数を上げずにスムーズな発進、加速が可能です。こうしたディーゼル車の特性をよく理解して、できるだけグリーンゾーン下限の回転域を使って運転しましょう。
低速ギアのままスピードを上げると、エンジンの回転数がどんどん高くなり、その分燃費が悪くなります。もし、大型車が5速でなく4速で、中・小型車が4速でなく3速でというように、一段下のギアに落として走行したとすると、燃費はそれぞれ20%〜40%も悪くなるのです。
〔ポイント〕
シフトアップポイントをエンジン回転計のグリーンゾーンにおき、エンジン回転数をおさえて、早め早めの操作により、できるだけ高速段のギアを使用して走行しましょう。
アクセルペダルとブレーキペダルをパタパタさせるような波状運転(加減速運転)は、定速走行と比べて燃費が非常に悪くなります。走行中は無駄な加減速をやめ、できるだけ速度を一定に保つような運転をするように心掛けましょう。
〔ポイント〕
先をよく見通して加速・減速を繰り返さないで済むように、安全な車間距離を保ち、定速走行に心掛けます。
ディーゼル車は、走行中にアクセルペダルを離しエンジンブレーキの状態とすると、エンジンに燃料が行かなくなる(燃料は無噴射)ので、燃料は消費されず車は惰力だけで走行することになります。
このエンジンブレーキの状態での惰力走行をうまく取り入れて走行することが、エコドライブにつながります。
〔ポイント〕
下り坂や信号の手前では、早めにエンジンブレーキを使って、惰力運転で減速しながら必要最小限度のフットブレーキをかけることが、エコドライブのコツです。
なお、クラッチを切ったり、ギアをニュートラルにして惰力走行すると、アイドリング状態(燃料は噴射)となるうえ、エンジンブレーキもきかない状態になってしまうことになります。ギアをニュートラルにしたり、クラッチを踏み込むのは、停止する直前まで待つようにしましょう。
前回の省エネ運転は、エコドライブに繋がります。
そして、エコドライブは丁寧な運転をすることですから、安全運転に繋がります。
トラックやトレーラドライバーの皆さんは、エコドライブ、そして安全運転を行いましょう。
引用参考:環境と安全に配慮した運転に向けたトラックドライバーのためのエコドライブ推進手帳