「ひき逃げ」事故の影響


交通事故や違反を起こすと、法律に基づいた刑事処分や行政処分が科せられます。人身事故などを引き起こした場合には懲役が科せられることになります。今回は「救護義務違反」いわゆる「ひき逃げ」についての影響や罰則についてお話しいたします。

ドライバーに対する刑事処分

現在の道路交通法では、ひき逃げ事故のうち、被害者の死傷がドライバーの運転に起因するものである場合の罰則が以前よりも強化され、その罰則は10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられることになっています。
刑事処分には「危険運転致死傷罪」と「自動車運転過失致傷罪」があります。酒酔い運転などの悪質で危険な運転によって人身事故を起こした場合、刑法第208条の2にあたる「危険運転致死傷罪」が適用され、厳罰に処せられます。飲酒以外にも、薬の服用や危険なスピード、無理な追い越しや信号無視などの行為で人を死傷させた場合にも適用されます。死亡事故の場合は1年以上、20年以下の懲役、負傷事故では15年以下の懲役が科せられます。「自動車運転過失致傷罪」は、交通事故の被害者やご遺族の要望で刑法に加えられた罰則です。自動車を運転する際に必要な注意を怠って人を死傷させた場合に適用される刑事処分で、7年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。

ドライバーに対する行政処分

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交通違反をすると、その内容に応じた違反点数が基礎点数として加点されます。この内容のうち特に危険性の高い悪質な違反として、酒酔い運転、麻薬等使用運転、救護義務違反(いわゆるひき逃げ)1回の違反でも3年間の免許取り消しになります。酒気帯び運転(呼気1Lにつき0.25mg以上)、過労運転などは25点の点数が加点され、2年間の免許取り消しとなります。交通事故を引き起こすと違反点数に加え、事故の種類や程度に応じた点数が付けられます。死亡事故を起こした場合、たとえ責任が軽い場合でも13点が加点され、違反点数と合計した場合に15点以上になると、免許取り消しになります。駐車場などの道路交通法における道路の外での死傷事故においても、免許取り消しや停止の行政処分が科せられます。

会社に対する行政処分

ドライバーが度々スピード違反や過労運転、過積載や放置駐車などの違反を繰り返すと、ドライバーだけではなく会社も一定期間、自動車や営業所の使用禁止などの処分を受けます。会社に対する処分の対象となる違反行為としては、無免許運転、最高速度超過運転、過労運転、麻薬等服用運転、酒酔い・酒気帯び運転、大型車等無資格運転、火災席運転、放置駐車などが該当します。

重大事故による心理的影響

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人身事故などの重大な事故を引き起こした場合、ドライバーへの刑事・民事処分、会社への行政処分が特に厳しくなります。重大事故を起こしたことをきっかけに監査を受けた事業者には、日頃からの法令違反を繰り返している場合が多く、日常的な法令遵守や安全運行が守られていない傾向が強く見られます。こうした日頃の法令遵守や安全運行に対する意識が、重大事故を未然に防ぐ堤防になるということを常に意識しましょう。
重大事故は、被害者の命を一瞬で奪い、被害者のご遺族や関係者、被害車両の同乗者、そして加害者の心にも深い傷を負わせる取り返しのつかない出来事です。加害者となってしまった時、刑事・民事処分を科されるだけではなく、人命を奪ったことへの罪の意識や後悔にさいなまれ、自身の家族を含め生涯にわたり苦しめられる人が多くいます。当事者たちだけでなく、その周囲全体に重大な影響をもたらします。こうした重大事故を起こさないよう、日常的な安全意識を心がけましょう。

 

引用参考 自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う一般的な指導及び監督の実施マニュアル