葛西警察署より感謝状を頂きました。


岩瀬運輸機工では重量物、精密機器の輸送という仕事柄、安全運転にはとくに注意を払っています。


例えば急ブレーキひとつとっても、多くの運送事業者にとっては「ヒヤリ・ハット」で済むかもしれませんが、半導体製造装置など精密機器の荷物にとっては振動ひとつが装置トラブルの原因となることもあるのです。


そのため運転は慎重に、そしてスムーズに。急加速、急ブレーキ、急ハンドルなど、「急」のつく挙動は絶対に厳禁なのです。


ドライバー全員の日頃からの安全運転意識の積み重ねにより、岩瀬運輸機工では無事故を続けています。


その甲斐があって、本社のある葛西臨海地区を所轄する葛西警察署様より感謝状をいただきました。


ユニッククレーンを使用して窓からの搬出入作業


また、京都支店の取り組みをはじめとして、営業拠点周囲の清掃活動にも取り組んでいます。


安全で明るい街づくりに、岩瀬運輸機工はこれからも取り組んでまいります。

未来の農業を守る!農機のEV化


目次


 

2022年11月
世界人口が80億人に達したと国連による発表がありました。
 
また、世界の人口は2058年に100億人に達する見通しとのことです。
 
日本では 他の先進国と同様
人口が微減化する少子高齢化が深刻な問題となっていますが
途上国の人口爆発が抱える問題もまた複雑かつ深刻化しています。

 

<食料問題>

 

人口増加の問題点に
貧困や経済格差の拡大が挙げられます。
 
それは人口が増加によって 資源の消費が増え、
様々な生産が追いつかなり、
食糧や水、住宅、雇用などが不足してしまうことが原因とされています。

 


 
とりわけ食料問題は深刻で
国際連合食糧農業機関(FAO)は
食糧、飼料、バイオ燃料を含む農業生産の生産量を
2050年には2015年の水準より50%以上を増加させる必要性を唱えています。
 
人口激増化の途上国では慢性的な飢餓問題が懸念されていることに対して
少子化傾向の先進国ではフードロスの問題が深刻でもあり
世界中で食料問題の対策が課題となっています。
 
食料を安定的に確保し 安心安全な食の未来を残すために
「農業」の役割は非常に重要となります。
 
 

<スマート農業>

 
 
農業就業人口の減少は大きな課題です。
 
日本でも 2010年の農業就業人口のうち、
65歳以上は約160万人で全体の約6割、平均年齢は65.8歳でした。
2019年になると、65歳以上は約118万人で全体の約7割を占め、平均年齢は67.0歳と
農業従事者の高齢化が進んでいます。
 
また、若者の農業離れによる人手不足
少子化で後継者が生まれないといった問題点が指摘されています。
加えて、耕作放棄地は2015年に40万haを超えていると言われています。
 

 
そこで近年
 
ロボット技術や情報通信技術(ICT)等の

先端技術の活用による
新たな農業=「スマート農業」を推進する取り組みが進められています。
 
農林水産省が掲げる「スマート農業」では
その実現に向け、下記の5つが定義されています。

★超省力・大規模生産を実現

トラクター等の農業機械の自動走行の実現により、
規模限界を打破

★作物の能力を最大限に発揮

センシング技術や過去のデータを活用した
きめ細やかな栽培(精密農業)により、
従来にない多収・高品質生産を実現

★きつい作業、危険な作業から解放

収穫物の積み下ろし等重労働を
アシストスーツにより軽労化、
負担の大きな畦畔等の除草作業を自動化

★誰もが取り組みやすい農業を実現

農機の運転アシスト装置、
栽培ノウハウのデータ化等により、
経験の少ない労働力でも対処可能な環境を実現

★消費者・実需者に安心と信頼を提供

生産情報のクラウドシステムによる提供等により、
産地と消費者・実需者を直結

 
将来の労働者不足を補う取り組みとして
最先端の技術を用いた新しい農業「スマート農業」は
農作業の省力化・省人化が可能になりえます。

 

<農機のEV化>

先端技術を活用した「スマート農業」の促進に欠かせないのが
農機のEV化です。
 
農業就業人口不足のためだけではなく
農林業から生じるとされる温室効果ガスは
世界全体で排出されるガスの2割とされ
環境問題への取り組みとしてもEV化は推奨されます。
 

 
農機の国内大手クボタは 電動トラクターや電動建機の開発を手掛け
2023年末を目途に欧州で小型のトラクターと建機を市場に投入する予定としています。
しかし 今の技術で中大型機をEV化するには
バッテリーの小型化が課題となっており、実現化のためにその技術開発が急がれています。
 
また農機大手のヤンマーでも2050年までに
自社製品が出す温暖化ガスを実質ゼロにする目標を掲げ
2025年までにトラクターなどの電動農機を発売すると発表しています。
 
海外では
 
トラクター界の「テスラ」とも言われている
アメリカのモナークトラクター社が
2023年から量産化するトラクターが注目されています。
 
それが世界初の自動運転で走行できる電動トラクターで、
パワーは標準的とされる40馬力で、
自動運転などの設定は運転席近くのタッチパネルで行います。
車体の前方に搭載された高容量バッテリーで、最大10時間稼働とのことです。
 
価格は1台およそ1000万円と決して安くはありませんが、
労働者不足の解消、脱炭素だけでなく
高騰するディーゼル燃料により年間65万円程の節約になるといいます。
 
持続可能な農業を支えるであろう農機のEV化は
農業人口減少や排ガスの解決策として期待される一方で
導入費用や運用が課題とされており
日本のみならず世界の農業の今後に良策が伴うことを願います。

 

<まとめ>

 

世界人口増加で食料問題が深刻化しています。
日本をはじめ先進国では農業人口の減少が懸念され
その解決策の一つとして農機のEV化が注目されています。
様々な課題を解消しEV農機によって未来の農業、食料問題が明るいものになるよう期待したい。

 

 

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ドローンが物流を変える?運送業の人手不足を補う救世主


目次


近年トラックドライバーの不足が深刻化しています。特に過疎地域では輸送需要の減少により既存の輸送手段を維持できなくなりつつあることが課題となっています。そこで過疎地域における輸配送の効率化、機能を維持していくために、ドローンを活用した荷物等の配送が期待されています。

 

今回はトラックドライバーが不足している背景と、物流界の救世主になり得るドローン物流について解説したいと思います。

 

<トラックドライバーの不足>

 

ドライバーの高齢化と若手ドライバーの減少により、トラックドライバーが不足しています。働き方改革や生産性向上が提唱される中、長時間労働・拘束時間や体力的負担が大きいという理由からドライバーを敬遠する若者も存在しています。

 

またコロナ禍でECビジネスの需要が高まりました。仕事量は増加しているにも関わらず圧倒的にドライバー数が少ないことから、市場の旺盛な需要に供給が追い付かずアンバランスな状態となっています。日時指定など配送業務の複雑化でドライバーへの負担が大きくなるばかりです。

 

こうした背景から新たな配送の手段として注目されているのが「ドローン」です。ドローンを操作するのはもちろん人ですが、直接赴く必要がなく運送業の人手不足を補えます。交通渋滞を緩和することが可能、運搬時のコストを抑えられるなどのメリットもあります。日本国内でドローン物流が実現すれば、荷物をよりスピーディーに運べるようになることが期待されています。

 

<航空法の改正>

 

2021年6月11日に航空法が改正されました。2022年12月以降、飛行経路下への第三者の立入りを管理せずに操縦者から目の届かない距離までドローンを飛行させる「目視外、補助者なし、立入管理なし」(レベル4)の飛行が可能となる見込みとなりました。最新版のロードマップ2021では、レベル4を2022年度を目途に実現する目標が掲げられています。

 

レベル4飛行については、当面の間は、山間部等の人口密度の低いエリアに限られることになりそうですが、空を活用することで、道路という既存インフラに制限されず、物流に新たな可能性が生まれるでしょう。

・飛行レベル

飛行レベル1:目視内・操縦飛行

飛行レベル1は「目視内・操縦飛行」で、見える範囲で手動操作する一般的なドローン利用の形態を指す。農薬散布や映像コンテンツのための空撮、橋梁や送電線といったインフラ点検などがこのレベルに該当する。

 

飛行レベル2:目視内飛行(操縦無し)

飛行レベル2は「目視内飛行(操縦無し)」で、見える範囲で自動運転機能を活用した飛行を行うものを指す。例としては、空中写真測量やソーラーパネルの設備点検などが挙げられる。

 

飛行レベル3:無人地帯での目視外飛行(補助者の配置なし)

飛行レベル3は「無人地帯での目視外飛行(補助者の配置なし)」で、住民や歩行者らがいないエリアにおいて目の届かない範囲まで飛行する形態を指す。離島や山間部への荷物配送、被災状況の調査、行方不明者の捜索、長大なインフラの点検、河川測量などがこれに該当する。

 

飛行レベル4:有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(補助者の配置なし)

飛行レベル4は「有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(補助者の配置なし)」で、市街地などを含めたエリアにおいて目の届かない範囲まで飛行する形態を指す。都市の物流や警備、発災直後の救助、避難誘導、消火活動の支援、都市部におけるインフラ点検などがレベル4として考えられる。

 

 

<ドローンを活用した地域づくり>

いよいよドローンの有人地域における目視外利用、いわゆる「レベル4」と呼ばれる規制緩和が実現され、輸送や監視などで本格的な活用が始まります。

 

ドローン物流・点検の実現に向けた実証実験は全国各地で行われています。

医薬品配送

【プロジェクト実施者】
日本航空(JAL)、KDDIなど

 

JALとKDDIは23年度にドローン物流の事業化を目指しており、医薬品配送のビジネスモデルを検討しています。災害などの緊急時でも、空から迅速に薬を届けられる物流網の構築が期待されます。今年2月の実験では、医薬品卸メディセオの物流拠点から隅田川上空を約2キロ飛行し聖路加国際病院付近に約10分で運ぶことに成功しました。またドローン1機で1日あたり10回の配送を見込めたといいます。
今後、国のガイドラインに基づき、配送中の薬の温度変化や固定状況を検証する。発注から納品までの時間やプロセスも分析し、病院や薬局が希望する時間と場所に届ける「オンデマンド配送」の実現性を目指しています。

 

・山間地域の生活利便性向上に向けたドローン配送

【プロジェクト実施者】
佐川急便株式会社、イームズロボティクス株式会社、
一般財団法人日本気象協会、株式会社サンドラッグ

 

このプロジェクトでは、住民等から注文を受けた商品を地域の小売店舗から当日中に配達することなどを目指しています。ドローンを活用した新たな配送手段を構築することにより、山間地域の物流機能を強化し、生活利便性の向上を図ります。

 

・ドローン防災 航空隊「ブルーシーガルズ」を結成

【プロジェクト実施者】
静岡県防災部地域防災課

 

静岡県焼津市では災害対策本部機能の強化、災害情報の見える化を実現するため、2015 年 7 月にドローンを導入。翌 2016 年に防災航空隊「ブルーシーガルズ」を結成しました。消防活動への参加、ほか有事の出動、災害に備えた訓練に加え、全庁運用を目指し活動範囲を拡大中。複数の部局の職員で構成され、災害発生時に限らず、 広報、港湾、建設、農政などの平時においてもドロー ン活用を行っています。

 

この他の自治体のドローン・自動配送ロボット等の利活用促進に向けた調査報告はこちらをご覧ください!
ドローンモデル自治体/令和3年度 産業経済研究委託事業>>

 

 

<まとめ>

 

ドローンを物流に導入することは決して簡単なことではありません。ドライバーが直接配送するのとは異なり、ドローンが荷物を途中で落下させてしまう可能性が否定できないからです。墜落や接触のトラブルをいかに回避するかが課題であります。
しかしデメリットよりもメリットの方が多く、日本が抱えている社会問題を解決してくれる救世主となるでしょう。ドローン物流が当たり前になる社会もそう遠くはありません。

内定者の研修を京都支店にて実施しました


先日の内定式に続き、内定者の研修を京都支店にて実施いたしました。



内定式の目的は主に3つ。

    1)人間関係の構築を図るため。

    2)会社や仕事内容について知ってもらうため。

    3)社会人としての自覚を持って、入社できるようにするため。

となります。


とくに弊社の場合、一般の運送会社とは異なる特殊な仕事のため、実際の仕事を体験し、来年4月の入社式までに仕事のビジョンをしっかりと描いて「どんなものでも運んでみせる」という熱意をもって仕事に取り組んでいただくためにも必要なものです。


エアモジュールによる装置の移動、ユニッククレーンを使用して窓からの搬出入作業、フォークリフトの操作体験など。

ユニッククレーンを使用して窓からの搬出入作業
 
ユニッククレーンを使用して窓からの搬出入作業
 

入社1~2年目の先輩社員が実演しました。


また、入社1年目の社員にとっては来年から先輩として後輩を引っ張っていくためのよい研修になりました。

フォークリフトの操作体験
 


私たちの仕事はどんなに機材が発達しても最後は技術とチームワークがモノを言う世界です。


オンリーワンの会社となるために、今年も技術と信頼のバトンを受け継いでまいります。

昭和レトロブームが追い風になるか?ビンテージ車のコンバートEV


目次


 

「昭和レトロ」が幅広い世代で人気となっています。
 
昭和世代には懐かしく、
若者世代には
「むしろ新しい!」「エモい!」と注目され、
SNS映えするフォトジェニックな昭和レトロなスポットや
雑貨や家電等はもちろん
昭和歌謡や映画といったレトロカルチャーにも
そのブームは広がっています。
 
 

<レトロブームと車>

 
「昭和レトロ」ブーム
その流れは 車にも影響していると言います。
 
2022年11月
大阪で『昭和レトロカー万博2022』が開催される予定です。
 
例年 希少な絶版車両などのレトロクラシックカーが数百台集結し
企業ブースの出店や貴重な絶版パーツをはじめ
グッズやミニカー等の展示販売も行われ、
多くの来場者で賑わいます。
 
旧車に興味のある男女121名を対象に行われた
アンケート調査(出展:カレント自動車)によると
 
旧車を所有し続ける(所有しようと思った)理由」では

 
1位:「デザインが好きだから」 32.2%
2位:「手放すと二度と手に入らないと思うから」 20.7%
3位:「現行のクルマにはない機能や性能があるから」 13.2%
3位:「思い出の車だから」 13.2%
5位:「走りが良いから」 7.4%
6位:「エンジン音が好きだから」 5.8%

 
国産・輸入車を問わず古い旧車には
今の車にはない独特で個性的なデザインが多く
外装、内装ともにその魅力は
今の若い世代にも非常に人気が高まっています。

 

<ビンテージ車の維持>

 
近年「SDGs(持続可能な開発目標)」により
モノを大切に使う、使い続ける意識が高まる中で
〝車は新しいものに乗り換えた方が良い”
という傾向に 古いビンテージ車好きの方には
切なさや矛盾を感じる方も少なくないでしょう。
 
実際に 旧車オーナーを悩ますものに「維持費」が挙げられます。
 
年式が古い車両になればなるほど、
メンテナンスには手間や時間、費用もかかります。
生産終了している車両の部品交換には
入手困難なパーツも多く旧車ユーザーを悩ませる要因の一つです。
 
また
安価ではない維持費の一つに「自動車税」があります。
 
一般的なコンパクトカー(排気量1L超-1.5L以下)の自動車税は
およそ3万500円の税額になりますが
新規新車登録から
ガソリン車とLPG車は13年超、ディーゼル車は11年超の場合
おおむね15%の重課措置がとられます。
軽自動車では13年超の場合、軽自動車税がおおむね20%重課されます。
 
CO2排出量の削減の為に導入されたこの重課措置ですが
困難かつ高額な維持費により
美しく愛らしい古い車を絶滅させない方法を模索している人達がいます。
 

 

<コンバートEV>

 
地球環境問題の深刻化とともに
世界的に自動車のEV化が加速しています。
 
その中で 古き良き時代のビンテージ自動車を
EV化する取り組みも広まりつつあります。
 
それが「コンバートEV」という
ガソリン車をEVに変身させてしまうカスタムになります。
簡単に言うと
ガソリンエンジンの車からエンジンを取り除き、
かわりに電気モーターを載せてEV化させるというものです。
 
2021年度のグッドデザイン賞を受賞した
オズモーターズのビンテージ車を電気自動車にコンバートする取り組みが
高く評価されているように
今 日本でもコンバートEVの自動車に注目が高まっています。
 
燃費が悪かったり、騒音や排ガスも問題視され
修理するにも部品が希少、さらには重課税、
そんな維持することが困難だったビンテージ車に
蘇るチャンスが到来したのです。
 
EV化することにより、自動車税も優遇されますが
このカスタムはほぼフルオーダーメイドとなり
費用もおおよそ500万円~とも言われており
決して安くはないそうです。
 
しかし
古い車を大切に乗り続けることを可能にしたコンバートEVは
古い車のSDGsと環境問題との矛盾点を埋めてくれる新しい選択肢とも言えるでしょう。
 

 

<まとめ>

 
空前の昭和レトロブームの中、ビンテージ車の人気も高まっています。
個性的なデザインで人気の古い車ですが、
その維持は大変困難とされています。
近年その様な旧車をEV化カスタムするコンバートEVが活発化し
環境に配慮しながら古い車を大切に使い続けられる選択肢として注目されています。

 

 

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過労運転とは 労働時間の改善と運転管理者の役割


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運輸業界で過労による脳や心臓疾患の労災認定された人は2020年度で58人と、各業界中最も多く、過労運転によるトラック事故が増加しています。トラック運送業において労働時間を削減することは容易なことでなく、長距離のトラックドライバーの労働時間は長くなりがちです。

 

しかし近年様々な業界で「働き方改革」が進められ、運輸業界も例外ではなくなってきました。過労は身体の健康に大きな悪影響を与えます。運転手の健康を守ることは、悲惨な交通事故被害を防ぐことにつながります。

 

今回は過労運転による事故を未然に防ぐための勤怠管理や運行管理者の役割について解説していきます。

 

<過労運転の原因>

「過労」とはどんな状態のことをいうのでしょうか。

文字通り、「疲労など、何らかの理由で正常運転ができない可能性がある」状態で運転することを指します。

具体的には以下のような状態です。

 

​​・過労
・病気
・薬物
・精神的要因など

 

長時間労働による慢性的睡眠不足や生活リズムの乱れは、疲労を蓄積させるだけでなく、病気の原因にもなりかねません。身体能力や判断力に影響し、運転をするには危険な状況となってしまいます。

 

しかし、道路交通法では具体的な基準については明記されていません。それだけに過労運転防止は運転手の自己管理に委ねられているのです。「気分が悪い」「強い疲労感がある」と思ったときは自主的に運転を控えることが重要です。

 

<過労運転と道路交通法>

道路交通法には、「過労運転等の禁止」という違反があります。

 

第六十六条:何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。

 

事故を起こさなくても過労運転と判断された場合、違反点数は25点、免許取り消しになります。似たもので居眠り運転がありますが、居眠り運転の場合は居眠り運転安全運転義務違反に該当し、違反点数2点・反則金9,000円となるのに対し、過労運転は行政処分と刑事処分の両方が科されます。

飲酒運転の違反点数が23点なので、同じくらい罰則が厳しいことがわかるでしょう。

 

運転手だけでなく会社も責任を問われます。タクシーやバス、トラックなどの営業車の事業主や運転管理者は道路交通法第75条により、運転手に過労運転を命じたり、過労運転をすることを容認したりしてはならないと規定されています。これに違反した場合、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の処分が科されます。

 

<ドライバーの労働時間改善のための基準>

運転者の過労運転を防止するため、労働時間に係る基準に従い勤務時間及び乗務時間を定めなければいけません。運行管理者は、労働時間の基準と特例を必ず遵守した運行計画を作成することが必要です。今回はトラックの場合のみ紹介します。

 

基本の拘束時間:
1ヶ月293時間以内、1日原則13時間以内、最大で16時間以内

1日の拘束時間は原則として13時間が上限で、拘束時間と拘束時間の間に休憩時間を8時間以上確保すれば、最大16時間まで延長できます。ただし、拘束時間が15時間を超えてよいのは、1週間につき2回の業務までです。

休憩時間や手待ち時間などを含む「拘束時間」は、1ヶ月につき原則として293時間が上限です。

特例的に、1年につき6ヶ月まで1ヶ月につき最大320時間まで労働時間を延長することができます。ただし、1年間の拘束時間の合計が3516時間(293時間×12ヶ月)を超えることはできません。

 

基本の休息時間:1日連続8時間以上

ドライバーの居住地での休息時間がそれ以外の場所での休息よりも長くなるように配慮するよう気をつけてください。継続して8時間以上の休息時間を与えることが困難な場合は、一定期間内における全勤務回数の2分の1を限度に、休息時間を拘束時間の間や後に与えることができます。この場合は、分割された休息時間が1日において1回あたり継続4時間以上、合計で10時間以上になるようにしなければなりません。

自動車運送事業者は、乗務員が有効に利用できる休憩施設を整備し、及び乗務員に睡眠を与える必要がある場合又は乗務員が勤務時間中に仮眠する機会がある場合は、睡眠又は仮眠施設を整備し、これらの施設を適切に管理し、及び保守しなければいけません。

運送業の法改正

運輸業界では長時間労働改善のための動きが加速しています。今年3月にはバス運転手の労働環境を改善するため、勤務終了から次の始業までの休息時間を現行ルールより1時間長い「最低9時間」に改める報告案を提示し、了承されました。今後タクシーとトラックの運転手についても年内に同様の新ルールをまとめ、2024年4月の施行を目指しています。

 

<過労運転を防ぐための運行管理者の役割>

運行管理者には、休憩施設または睡眠・仮眠施設の状態が常に良好であるように計画的に管理する義務があります。

勤務時間と乗務時間の設定

1、事業者は、休憩または睡眠のための時間及び勤務が終了した後の休息の時間が十分に確保できるように、国土交通大臣が告示で定める基準に従って、運転者の勤務時間及び乗務時間を定めなければなりません。

 

2、運行管理者は、事業者が定めた勤務時間・乗務時間の範囲内で乗務割を作成し、これに従って、運転者を事業用自動車に乗務させなければなりません。

運転者の勤務時間及び乗務時間の設定

事業者は、勤務時間、拘束時間、休憩時間、時間外勤務、公休、休日出勤、有給休暇等の事項を明確にし、勤務体制を確立しなければなりません。

勤務時間及び乗務時間の基準

事業者が、勤務時間及び乗務時間を定める基準は、「貨物自動車運送事業の事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準(平成13年国土交通省告示第 1365 号)」、基発第92号(平成元年3月1日)「一般乗用旅客自動車運送事業以外の事業に従事する自動車運転者の拘束時間及び休息期間の特例について」、基発第93号(平成元年3月1日)「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準について」が適用されます。

 

<点呼を生かした過労運転の防止>

 

トラックやトレーラーによる交通事故を防ぐには、ドライバーの健康が良好であることが不可欠です。運送は時間が不規則になりがちなことから、日常的にドライバーの健康状態を確認し、過労運転を防止することが大切です。そこで、点呼では、顔つきや顔色、姿勢などの変化をよく観察することで、ドライバーの前日の状況や疲労の蓄積、健康状態などについて細かくチェックすることが必要です。

 

基本的には、対面点呼を行い、ドライバーの顔つきや態度、言葉遣いなどの変化を観察し、もし変化が見られた場合は背景にどのような原因があるのかをゆっくりヒアリングし、対応することが必要です。点呼時の質問内容は、毎回異なる質問をしたり、質問を長くするなどの工夫を凝らしましょう。ドライバーの反応が普段よりも緩慢でないか、イライラしたそぶりをしないかどうかなど、詳細な観察を行います。対面点呼直前の睡眠時間や疾患の有無など、特にドライバーに持病がある場合は現在の状態や通院の確認など、ドライバーの身体的な健康状態を把握することが大切です。さらに、心理的な面においても悩みがないかなどの精神状態を把握しておくことも必要です。

 

もしも長期の運行計画によって対面点呼ができない場合は、テレビ電話など動画や画像を活用して、顔つきからも疲労状態を確認するように工夫しましょう。

 

乗務前点呼の時には、ドライバーの健康状態、疲労の度合い、飲酒の有無、薬の服用状態などの身体的な状態の確認と、睡眠不足ではないか、異常な感情の高ぶりがないかなどについて確認します。さらに細かく、ドライバーの歩き方、服装、顔色、口臭、目の動きなどをよく観察し、もしも異常を感じたら詳しく質問します。前日の状態と比較し、前日と同じ質問に対する反応の良し悪しを観察しましょう。

 

乗務後点呼の時には、その日の運行でドライバーの疲労が蓄積していないかを確認します。そして翌日の運行に役立てるために業務に応じた確認事項を確認します。ドライバーの運行中にヒヤリハット経験がなかったかどうかも質問しましょう。最後に、「今日も1日お疲れ様でした」という心からのねぎらいの言葉が、ドライバーの励みになり、疲労解消にもつながることを心に留めておきましょう。

 

<日常的なコミュニケーションの充実>

 

ドライバーの小さな変化に気づくためにも、日頃からドライバーと運行管理者の間のコミュニケーションを潤滑にしておくことが大切です。ドライバーが、疲労や眠気、健康状態において危険を感じた時に、安全を優先した発言をすることにプレッシャーを感じずスムーズに発言できるような職場の環境や人間関係を構築することが必要です。その上で、ドライバーが過労や体の異常などを電話などでも運行管理者に伝えやすい環境を作ることも大切です。

 

<ドライバーが相談しやすい職場環境>

事業者や運行管理者は、ドライバーからの相談が受けやすい雰囲気作りを心がけてください。事業所内に相談しやすい場所を設けるなどの工夫をしましょう。相談を受けたスタッフは、相談内容には真摯かつ誠実な対応を心がけるとともに、相談内容はプライバシーに関わることですので、口外してはいけません。

 

事業者や管理者だけではなく、産業医や衛生管理者などの専門スタッフによるサポートや、外部機関と連携し、精神的ストレスや悩みを相談できる公的機関があることも、事業所内で周知しましょう。相談窓口としては「働く人の悩みホットライン(03-5369-2275)」が、職場、暮らし、家族、将来設計など働く上での様々な悩みに応えています。相談時間は一人1回30分以内、通話料は相談者が負担しますが、相談自体は無料です。全日本運輸産業労働組合連合会(0120-506-783)でも、労働組合員が気軽に専門のカウンセラーに相談できる窓口を開設しています。家庭問題や職場問題、金銭トラブルや病気などのあらゆる相談を無料で受け付けています。

 

<まとめ>

まとめ

過労運転は重大な事故を引き起こす危険な運転です。トラック運転手に長時間運転長時間労働が常態化すると、過労死や労働災害、従業員とのトラブルなどのリスクが生まれます。運転手、事業者ともに安全意識を持って過労運転をなくすように努めましょう。

参考サイト

道路交通法:
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105#633

国土交通省:https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/personnelmanagement.html


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