トラックやトレーラから見えない場所 ―死角―


トラックやトレーラは車体が大きい分、乗用車よりもどうしても死角になる場所が多くあります。

例えばどのような部分が見えにくくなってしまうのかをしっかりと学び、トラックやトレーラでの走行に活かしましょう。

 

死角

左側後方の死角は大きい

右側に運転席のあるトラックでは、左側の死角が大きいことを自覚しましょう。

左側は確認できる部分が少なく、左側方から左後方にかけてはバックミラー、アンダーミラーに映る範囲以外はほとんど死角となります。

 

後方の死角

バン型トラックは後方のほとんどが死角です。

後方が見えない状況で安全に後退するためには、いったん下車して後方の安全を確認するか、誘導員に誘導してもらう必要があります。

誘導してもらう時やバックアイカメラを使用する場合でも過信は禁物です。

 

スピードと車の特性

スピードを出すと衝撃力が増す

衝突時などの衝撃力は、スピードの2乗に比例して大きくなります。

貨物を積載しているトラックは車両総重量が重いため衝撃力は一層大きくなり、死亡事故の主要因となるのです。

 

スピードを出すと遠心力が増す

カーブで急ハンドルを切った時に生じる外側に向かう力が遠心力です。

この力はスピードの2乗に比例し、カーブがきついほど、車が重いほど大きくなります。

 

スピードを出すと停止距離が長くなる

「停止距離」とは危険を感じてブレーキを踏み、効き始める迄に進む距離「空走距離」とブレーキで車を停止させる距離「制動距離」との合計距離です。

スピードを出せば出すほど「停止距離」は長くなります。

 

スピードと視覚

スピードを出すと視力が低下する

車を運転中の視力は静止している物を見る時の「静止視力」とは異なり、常に動いている物を見る「動体視力」と呼ばれています。

「動体視力」は昼間よりも夜間に、スピードを出せば出すほどに低下する傾向があります。

静止視力がよい人でもスピードの出し過ぎには十分注意しましょう。

 

スピードを出すと視野が狭くなる

人が視線を動かさずにいる状態で見える範囲が視野です。

通常、静止してまっすぐ前方を見た場合、視野は両眼で約200度程度見えるが、スピードを出せば出すほど見える範囲は狭まります。

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下り坂・上り坂のスピードコントロール

下り坂の走行

下り坂ではスピードが出やすく、前車との車間距離をとるためのスピードコントロールが重要となります。

特に前車が排気ブレーキ使用の場合は注意しましょう。

長い下り坂でフットブレーキを多用すると、フェード現象やベーパ・ロック現象が生じ、ブレーキが効かなくなる恐れがあります。

できるだけエンジンブレーキや排気ブレーキを活用し、道路の勾配や周囲の状況に応じた走行を心掛けるようにしましょう。

 

上り坂の走行

積載量が大きい大型トラックは、上り坂ではスピードが低下しがちです。

このため後続車に追突される恐れもあるので、上り坂ではスピードメーターのチェックを確実に行いましょう。

登坂車線のある道路では登坂車線を利用しましょう。

 

安全な速度と車間距離

1秒間に車が走行する距離

スピードを出せば出すほど1秒間に車が進行する距離は長くなります。

これは危険を感じてブレーキを踏み、効き始めるまでの「空走距離」が長くなることを意味しています。

スピードの出し過ぎや走行中に不用意なわき見をしてはいけません。

 

安全な速度と車間距離

スピードに応じた安全な車間距離の取り方の目安は次のとおりです。

 

速度60km/h以下の場合は、走行速度の数字から15を引いた車間距離をとりましょう。

例 速度60km/hの場合:60-15=45メートル

 

速度60km/hを超える場合は、走行速度の数字と同じ車間距離をとりましょう。

例 速度80km/hの場合:80メートル

 

過積載は交通事故の要因

過積載をすると制動距離が長くなる

定量積載のトラックの制動距離に対し、過積載状態では制動距離が長くなるといった測定データがあり、過積載状態が危険であることは明らかです。

また、過積載時は定量積載時に比べ、衝突事故時の衝撃力も大きく死亡事故や重大事故につながる可能性が高いです。

 

過積載をするとバランスを崩しやすい

過積載をすると、一般的に高積みとなり左右のバランスを崩しやすいです。

カーブ走行では、対向車線へのはみ出しや横転する恐れがあります。

下り坂では定量積載時に比べスピ-ドが出ます。

このためブレーキへの負担は増し、過熱してブレーキが効かなくなるフェード現象を引起こす恐れがあります。

 

トラックやトレーラの死角になってしまう場所、走行スピードについてなど、気をつけるべき点はいくつもあります。

安全運転を行いましょう。

 

引用参考 トラックドライバーのための安全運転の基礎知識

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トラックやトレーラを運転するために


トラックやトレーラを運転するには、当たり前のことですが免許が必要です。

ではその免許の種類や取得した免許で運転できる条件は、すべてご存知でしょうか?

法律で細かく決められておりますので、一緒に確認しましょう。

 

運転免許の種類

運転免許の種類によって運転可能な自動車、自動二輪車、原動機付自転車は道路交通法で決められています。

トラックを運転する場合、大型自動車免許を受けていれば、大型・中型・普通・小型・軽トラックと多様な用途に応じたトラックの運転が可能です。

大型免許の受験資格は21歳以上かつ運転経験3年以上、中型免許の受験資格は20歳以上かつ運転経験2年以上と道路交通法で定められています。

 

けん引免許

大型自動車、中型自動車、普通自動車、大型特殊自動車のいずれかで他の車をけん引する時は、けん引する自動車の種類に応じた免許の他にけん引免許が必要です。

ただし、車両総重量が750kg以下の車をけん引する時や、故障車をロープでけん引する時は、けん引免許は必要としません。

 

特殊車両の通行

車両制限令による最高限度

道路法第47条で「車両制限令に定める車両の幅、重量、高さ、長さ又は最小回転半径の最高限度を超えるものは、道路を通行させてはならない」と定められています。

最高限度を超える特殊車両の通行は道路管理者に申請します。

 

特殊車両通行の際の確認事項

特殊車両通行許可証が車両に備えられていることを確認しましょう。

車両総重量が20トンを超えるトラックを運行する際には、車体の前面に標識が表示されていることを確認します。

 

道路による法定最高速度

道路標識や標示で最高速度が示されている場合

標識や標示で最高速度が示されている場合はその速度が最高速度であり、その速度を超えて運転してはいけません。

 

道路標識や道路標示で最高速度が示されていない場合

標識や標示で最高速度が示されていない一般道路では、トラックの種別に拘わらず全て速度は60km/hです。

自動車専用道路及び中央分離帯のない高速自動車国道でも、トラックの種別に拘わらず速度は60km/hです。

高速自動車国道の最高速度は、車両総重量8トン以上のトラック及びトレーラは速度80km/h、車両総重量8トン未満のトラック及び軽トラックは速度100km/hです。

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運転席の高さと視界との関係

トラックは運転席が乗用車に比べて高い位置にあり視界が広いです。

反面、運転者は前方を上方から見下すような視野での運転となります。

前車との車間距離は長く感じやすく、実際の車間距離が短くなります。

そのためトラックが起こす事故のなかで、とくに追突事故が多くなっています。

 

追突事故を防止する運転

追突事故防止のため、以下のチェックを行いましょう。

  • 前車に接近し過ぎていないでしょうか?
  • スピードを出し過ぎていないでしょうか?
  • 交差点では前車の減速や停止に注意しているでしょうか?
  • 周囲の車の動静に注意しているでしょうか?

 

トラック幅と運転

車長の長いトラックは、乗用車よりもホイールベースが長く内輪差も大きいです。

内輪差が大きいため「左折時に左側方の歩行者やバイクを巻き込む事故」を起こしやすいのです。

左折時には歩行者やバイクの動静をよく注意して運転しましょう。

 

狭い道路への左折時車体がふくらむ

トラックは内輪差が大きいため、狭い道路へ左折する時、大きくハンドルを右に切り、センターラインをはみ出して左折することがあります。

これは道路交通法違反であり、予め道路の左端に寄り左折しましょう。

 

右折時は車体後部がオーバーハングする

トラックは右折時にオーバーハングし、車体後部が外側に振られ後続車に接触する恐れがあります。

この点を十分注意して運転しましょう。

 

狭い道路での対向車とのすれ違い

トラックの車幅は2.2~2.5mで、乗用車の約1.3倍程度あります。

狭い道路では対向車とのすれ違い時に接触事故を起こす恐れがあります。

自分の運転技量を過信せず、徐行や一時停止を行い十分に安全を確認し通過しましょう。

 

カーブ等での車体一部の対向車線へのはみ出し

狭い道幅のカーブ走行時には、速度を減速することばかりではなく、センターラインをはみ出さないように車幅にも注意を払った運転が必要とされています。

特に右カーブでは、視線が右に向きやすく、右側ミラーできちんとセンターラインをとらえて、はみ出さないような運転を心掛けましょう。

 

トラックやトレーラを運転するためには、実はさまざまな条件やルールがあったのです。

ルールを遵守した上で、物流業界をしっかりと引っ張っていきましょう。

 

引用参考 トラックドライバーのための安全運転の基礎知識

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燃費が良くなる車両の適切な軽量化


燃費の良し悪しは、トラックドライバー自身の運転の仕方や、こまめな日常点検、そして車両の上手な選び方が大切です。

今回は燃費が良くなるトラック車両の適切な選び方を確認していきましょう。

 

車両及び仕様の選定の軽量化による効果

車両を軽量化するとその分燃費は良くなります。

特に、空車や積載量が少ないときは、さらに燃費の向上が大きくなります。

空車時は実車時に比べて30〜40%程度燃費が向上します。

実車時より空車時の方がエコドライブの燃費改善効果が大きいということです。

 

トラックに使われている部材の軽量化

荷台の縦根太、横根太のアルミ材使用、荷台の軽量板材の使用、荷台への鉄板敷きの排除、タイヤホイールやサイドバンパーのアルミ材使用、幌ウイングの採用など車両の用途を踏まえた軽量化部材や仕様を検討しましょう。

 

トラック部材の軽量化に必要なこと

  • 荷台への鉄板敷きの排除
  • 荷台の縦根太、横根太のアルミ材使用
  • 荷台の軽量板材の使用
  • アルミホイール、サイドバンパーのアルミ材使用

 

燃料タンク・タイヤ・工具類の軽量化

過大な容量の燃料タンクは、燃料やタンク自体の重量により車両が重くなりその分燃費が悪くなります。

従って、燃料タンクは使用する車両の特性を考慮して、過大なものとならないようにしましょう。

タイヤのパンク発生率、タイヤパンク時におけるドライバーのタイヤ交換の実績、チューブレスタイヤ装着によるパンク発生率の減少などを考慮して、スペアタイヤ及びタイヤキャリアを装着しない検討をしましょう。

車両技術の向上などにより、近年では故障も少なくなっており、工具を使用する機会も少なく、工具箱についても取り付けの必要性の有無を検討しましょう。

また、作業内容によっては不必要な諸機材(荷締機、ローラコンベア、タイヤチェーンなど)についても、こまめに取り卸しをすることが必要です。

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燃料タンク・タイヤ・工具類の軽量化

諸機材

作業内容によっては不必要な諸機材(ローラコンベア、タイヤチェーンなど)についてもこまめに取り卸しをしましょう。

 

燃料タンク

使用する車両の特性を考慮して過大なものにならないように注意します。

 

工具箱

取り付けの必要性の有無を検討しましょう。

 

スペアタイヤ タイヤキャリア

パンク発生率、パンク時のドライバーのタイヤ交換実績、チューブレスタイヤ装着によるパンク発生率の減少などを考慮し装着しない検討をしましょう。

 

タイヤの種類

タイヤには、バイアスタイヤとラジアルタイヤの2種類があります。

ラジアルタイヤはベルトにより補強されているため回転時の変形が少なく、バイアスタイヤよりころがり抵抗が小さいので燃費が良くなります。

さらに同じラジアルタイヤでもチューブレスタイヤは、チューブ付タイヤに比べて軽くて、偏平率が小さいため変形量が少なく、その分燃費が良くなります。

又、チューブ部分が無いためパンクやエア漏れに対する安全性も高いといえます。

 

タイヤのパターン

使用する車両の用途を考えてタイヤのパターンを選定しましょう。

例えば、一般の舗装路や高速道路を主に走行する車両には、リブ型のチューブレスタイヤを装着することで燃費の向上が図れます。

 

  • リブ

操縦性、安定性が良いです。

転がり抵抗が少ないです。

タイヤ音が小さいです。

高速道、舗装路走行用です。

 

  • リブラグ

リブとラグの凡用パターンで、両方の特徴を備えています。

ダンプ、ミキサ、地場カーゴ用です。

 

  • ラグ

駆動力、制動力に優れています。

非舗装道路に向いています。

中低速ダンプ、ミキサ用です。

 

  • ブロック

積雪、泥濘地用です。

駆動力、制動力に優れています。

オールシーズン(ダンプ除く)使用可能です。

 

  • エアロパーツ

エアディフレクタ(ウインドディフレクタとも)

エアディフレクタは、キャブとバン型荷台との高さの違いにより生じる空気抵抗を低減する装置です。

荷台がキャブより高い車両(バン型車)やキャブバックの広い車両に対してエアディフレクタを取り付けると、5〜10%の省燃費効果があります。

 

  • エアダム

車両の床下は、エンジンやサスペンションなどの突起があるため、強い空気抵抗を生じることになります。

この空気抵抗を低減する装置にエアダムがあります。

エアダムは、平ボデー車や特装車両に取り付けても効果があり、2〜4%の省燃費効果があります。

 

タイヤひとつとっても燃費の良さや機能は変化します。

燃費が良くなることで、トラックはエコドライブに適切な車両になるのです。

 

引用参考 環境と安全に配慮した運転に向けたトラックドライバーのためのエコドライブ推進手帳

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