トレーラ大型化の留意点


トレーラを大型化することによるメリットは前回、前々回などでお伝えしてきました。

しかし同時に、注意しなければならない点も当然あります。

 

トレーラの大型化を検討する際の留意点

1、貨物量の確保

トレーラ化にあたっては、定期的かつ定量的に出荷が見込める荷主の選択と獲得が必要です。あわせて、帰り荷の獲得についても視野においておかなければなりません。

 

2、収支面の確認

輸送の効率化、環境保全、人手不足対策等を総合的に判断してトレーラの導入を検討する必要があります。車両の大型化にあたっては、安定的な貨物の確保が重要となります。また、安定的な経営を目指す上では荷主とWN-WN の関係を構築した上での料金交渉が前提となってきます。貨物量が増加できる部分を運賃収入にいかに反映させるかが課題です。

 

3、通行条件の確認

道路運送車両の保安基準改正によってトレーラの大型化は可能になりましたが、一般的制限値を超える車両を運行させる場合には、車両制限令による特殊車両通行許可申請が必要であることには変わりありません。今回の省令改正では、通行許可の審査条件は緩和されていませんので、条件つき通行が指示される場合もあり、導入にあたっては十分な注意が必要です。

 

4、集配先構内の広さ・駐車スペースなどの確認

トレーラの切り回しには広いスペースが必要となります。集荷・配達先の構内スペースの状況確認をはじめ、自社の駐車スペースの確保も必要です。また、フェリー等を利用する場合、フェリーの駐車スペースも確認してください。

5、ドライバーに関する課題

現在、大型免許を持っているドライバーがトレーラを運転するには、けん引免許が必要です。トレーラは車体の仕様によって運転特性や運転感覚が異なるため、免許取得後も継続的な訓練が必要です。トレーラの運転特性の理解とともに、ジャックナイフや横転事故の防止に向けた安全知識の習得も不可欠です。

 

【参考】 けん引免許取得について

取得方法(下記のいずれか)

・指定自動車教習所へ通って技能卒業検定に合格する

・運転免許試験場で技能試験を直接受験する

 

取得の条件

・所持免許条件:普通自動車免許・大型免許・大型特殊免許のいずれかを保有していること

・年齡:滿18歲以上

・視力: 両眼で0.8以上、片眼それぞれ0.5以上、深視力検査での誤差が2cm以下であること

(眼鏡・コンタクトレンズで短調正可) ・聴力: 10メートルの距離で90デジベルの警音器の音が聞こえること

 

※以下の条件に該当する方は運転免許を取得することができません。

・法定で定められた病気(精神病等)や、中毒(アルコール・麻薬・覚せい剤等)にかかっている方 ・交通違反や事故などの行政処分を受け、欠格期間が終了していない方(欠格期間が終了していれば取得可能)

 

けん引免許教習料金のめやす

・13万円〜20万円

6、車両の納期

トレーラは基本的に受注生産となるため、発注から納品までに時間を要します。導入を決めたら、ディーラーや車体メーカーに早めに連絡をとりましよう。

 

トレーラに限らず、トラックなどにもさまざまな注意事項がありますよね。

きちんと確認して対応できるようにしましょう。

 

引用参考:トレーラの大型化による輸送効率化促進ハンドブック

岩瀬運輸機工なら大型精密機器も安心の運搬です。詳しくは《こちら》から!

 

トレーラの大型化のメリット


トレーラが大型化することによるメリットはたくさんあります。

トラックやトレーラドライバーの皆さんや、経営者のかたには「知っておきたい情報」のひとつですね。

トレーラの導入・大型化に向けた考え方

道路運送車両法(道路運送車両の保安基準) と道路法(車両の通行の許可の手続き等を定める省令)の一部改正により、車両をさらに大型化できる可能性が生まれ、「輸送の効率化」「運行コストの削減」「ドライバー不足への対応」「道路交通混雑の緩和」「環境対策」の効果が期待されます。

一方で、初めてトレーラを導入する場合には、注意すべき点もあります。

ここでは、車両の大型化を検討する際に参考となる考え方や留意点を整理します。

 

トレーラの大型化のメリット

1、積載量の増加

トレーラの大型化によって、積載できる重量あるいは容積を増やすことができます。

 

2、運行コストの削減

一度に積載できる貨物が増えることにより、運行回数が減少することに伴い、燃料費、人件費、高速料金、その他管理費等の運行コストの削減が期待できます。

 

3、環境対応 co排出量の削減=エネルギー使用量の削減

車両の大型化により、運行台数を減らすことができればCO2排出量の削減が見込め、環境保全に貢献できます。また、省工ネ法(工ネルギーの使用の合理化に関する法律) によって大手荷主にも排出CO2の削減が義務づけられており、運送事業者にとっては、 車両の大型化によるCO2排出量の削減をアピールすることができます。

 

エネルギーの使用の合理化に関する法律

年間3.OOO万トンキロ以上の輸送を行う事業主または2OO台以上のトラックを保有する運送事業者は、工ネルギー使用量の報告と共に毎年1%の削減が義務付けられています。また、その他の事業者、運送事業者についても同様の努力義務が課せられています。

ドライバー不足への対応

トラックドライバーは他の産業と比べて長時間労働・低賃金となっていること、また就業者は中高年齢層の占める割合が高く、若年就業者の割合が低いことなどを背景に、中長期的にトラックドライバーの人材不足が懸念され、人材確保・育成が差し迫った課題となっています。

車両の大型化により運行台数を減らすことができれば、今後より深刻になるドライバー不足への対応にもつながります。

 

また、トレーラ輸送はトラクタと切り離すことが可能で、ロ継地点でつなぎ直す中継輸送や、トレーラ(貨物)だけフェリーに積み込むフェリー輸送に活用されています。これまで長距離を運転していたドライバーは、ロ継拠点までの往復運転で済むようになり、拘束時間短縮が図れることや、車両の寝台ではなく、自宅に戻って休息できることなどのメリットがあります。また、事業者にとっても労働環境の改善に役立てることができます。

 

複数の運送事業者間のトレーラの相互使用インターチェンジ契約について

トレーラを複数の運送事業者間で相互に使用することができます。

その際には、協定書等により下記の内容等を定めておく必要があります。また、事業用自動車の相互使用を協定書等の締結により行う場合には、事業用自動車の数の変更届が必要です(事前届出を要しない)。

その他のメリット

1、荷主へのアピール

荷主に対して以下の点をアピールでき、新たなチャンスに繋げることができます。

 

・積載効率の向上と輸送数量の増加

・バリ工ーション豊富な車種をそろえていることの強み

・CO2排出量の削減ニエネルギー使用量の削減

・コンプライアンスを遵守する (過積載をしない) 適正事業者

 

2、新型トレーラ導入による安全性の向上

自動車 (バス、トラック及びトレーラ)に備える制動装置について、平成25年8月及び平成26年2月に国連の「制動装置に関わる協定規則(第13号)」を採用し、道路運送車両の保安基準等が改正されました。これにより、トレーラへの車両安定性制御装置搭載の義務化が次ページの日程で施行されます。トレーラはより安全に走行できるようになっています。

 

3、タイヤのリフトアップ機能

トレーラには、3軸車両の2軸をリフトアップする機能を付けることができます。

これにより、高速道路料金が特大車区分から大型車区分になり、通行料金を軽減することが可能になります。また、リフトアップすることでタイヤの摩耗が減り交換サイクルを長引かせることができたり、燃費向上も図れるというメリットがあります。(ただし、空車又は空車に近いときだけ使える機能であり、トレーラ側の工アサスが必要条件となります。)

 

大型化することによって、従来の運転の仕方や交通の場所などが異なるかもしれませんが、以上のメリットをきちんと踏まえて考えたいですね。

 

引用参考:トレーラの大型化による輸送効率化促進ハンドブック

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トレーラの大型化についての特別措置


トレーラの大型化にあたり、特別措置を与えられる車両があります。

法令の変化に合わせてさまざまな手続きも必要になりますよね。

以下では、おおまかにご案内します。

遵守すべき主な法令

3つの法令と車両諸元

貨物自動車が公道を走行する際に遵守すべき主な法令としては、道路運送車両法、道路法、道路交通法の3つがあり、それぞれ所管と目的が異なります。

各法令が規定する車両の大きさ (寸法) および重量の規制について下表の通りまとめました。

また、平成27年3月の省令改正によって、バン型等セミトレーラの特例8車種に限って規制の見直しがされています。

 

制限緩和のための特例措置

各法令に基づく申請手続き

道路運送車両法、道路法及び道路交通法で規定する制限値を超える車両であっても、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないと認める時は、その車両を通行させる者の中請に基づいてその車両の通行を許可又は認定できることとなっています。

 

車両の構造が特殊である車両、あるいは輸送する貨物が特殊な車両で、幅、長さ、高さおよび車両総重量のいずれかの一般的制限値を超えたり、橋、高架の道路、トンネル等で車両総重量、高さのいずれかの制限値を超える車両を「特殊な車両」といい、道路を通行するには「基準緩和の認定申請」や「特殊車両通行許可の申請」「制限外積載許可申請」「制限外けん引許可申請」が必要になります。

 

特殊な車両

車両の構造が特殊なため一般的制限値のいずれかを超える特殊な車両で、トレーラ連結車の特例5車種 (バン型、タンク型、幌枠型、コンテナ用、自動車運搬用)のほか、追加3車種 (あおり型、スタンション型、船底型)を合わせて「バン型等セミトレーラ」(「特例8車種」) といいます。

 

トレーラ連結車の特例

バン型等セミトレーラ連結車は、通行する道路種別等によって連結車両総重量および長さの特例が設けられています。

トレーラの大型化に対応した省令の一部改正の内容

改正の背景

今回の改正では、道路の老朽化対策のために道路の劣化への影響が大きい大型車両の通行の適正化を図るとともに、適正な道路利用者に対しては、物流の効率化や国際競争力確保の観点から、「道路運送車両の保安基準」と「車両の通行の許可の手続き等を定める省令」が改正され、以下の2つの制限に関する見直しが行われました。

 

・バン型等セミトレーラをけん引するトラクタの駆動軸重およびトレーラの車両総重量等の重量に関する制限の見直し

・フィートコンテナをはじめとするバン型等セミトレーラの車両の長さに関する制限の見直し

 

対象となる車両

トラクタ

・国土交通省自動車局が規定する構造要件(工アサス)を満たす2軸トラクタ

 

トレーラ

・特例8車種のバン型等セミトレーラ

バン型セミトレーラ

タンク型セミトレーラ

幌枠型セミトレーラ

コンテナ用セミトレーラ

自動車運搬用セミトレーラ

あおり型セミトレーラ (ダンプ・スクラップ・オープントップバン含む)

スタンション型セミトレーラ

船底型セミトレーラ

 

皆さんがお使いの車種はありましたか?

トラックやトレーラのドライバーの方、あるいは取りまとめている管理の方などは、今後も法令が変わるタイミングもあるでしょうから、きちんと把握しておくことが大切ですね。

その際は手続きを忘れないようにしましょう。

 

引用参考:トレーラの大型化による輸送効率化促進ハンドブック

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