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雨の日のトラック運転は大変! 知っておきたい安全対策 〜梅雨時期の安全運転・雨対策・視界確保など〜

はじめに
梅雨の季節になると、連日のように雨が降り続き、道路状況は悪化します。一般ドライバーにとっても、視界不良やスリップリスクが高まるこの季節は、特に注意が必要です。中でも、大型トラックと同じ道路を走る際には、その特性を理解し、適切な距離感とマナーをもって運転することが、事故防止につながります。
本記事では、雨天時における「トラックとの安全な付き合い方」を一般ドライバーの視点で解説します。
雨天時のトラックの挙動を意識しよう
・トラックの制動距離は長い
雨の日は路面が滑りやすくなるため、トラックは特に停止までに時間がかかります。トラックの直前での割り込みは厳禁です。十分な前方車間距離を保ち、トラックの動きを妨げない運転を心がけましょう。
・追い越しは慎重に
トラックを追い越す際は、トラックから直接目視はできずにサイドミラーに入る時間が長くなります。また、横風や水はねの影響を受けることも多くなります。雨の日は特に、視界不良で死角が増えるため、追い越しは素早く、安全な状況を見極めて行うことが必要です。
・後方を走るときも注意
トラックの後方を走ると、水しぶきによってフロントガラスが一気に濡れ、視界を奪われることがあります。また、テールランプが見えづらくなるため、適切な車間距離を保ちましょう。
トラックの視界と死角を理解する
・運転席から見えないゾーンが多い
トラックには広範囲な死角が存在します。雨の日は視野も狭まり、特に注意が必要です。雨天時はさらに助手席側や後方斜め後ろは見落とされやすく、接触のリスクが高まります。ウインカーを出しているトラックの側方にいる場合は、無理な追い越しを控えましょう。
・トラックの左折に注意
大型トラックは左折時に大きく膨らむ必要があるため、巻き込み事故の危険があります。交差点で並走するのではなく、十分な距離をとって後方で待機することが大切です。
雨天時の安全運転ポイント
▶︎ 早めのライト点灯
雨で視界が悪くなる中、トラックドライバーから見落とされないよう、早めのヘッドライト点灯が有効です。昼間でもスモールライトではなくロービームを使用しましょう。
▶︎ 速度抑制と車間距離の確保
雨天時は制動距離が伸びるため、通常よりも多めの車間距離を取りましょう。特にトラックの近くを走る際には、急ブレーキへの対応が遅れる可能性を考慮し、余裕ある運転を意識することが重要です。
▶︎ トラックの挙動に注意を払う
ブレーキランプの点灯、ウインカーの動きなどを早めに察知することで、安全な車間と走行位置を維持できます。トラックが減速し始めたら、自車も早めに減速する心構えを持ちましょう。
見えない努力への理解と配慮
雨の日でも、トラックは物流を支えるため、止まることなく走り続けています。積載物の保護や車両整備、運行管理など、見えない部分で多くの対策が施されています。私たち一般ドライバーがその存在を理解し、共に安全な道路環境を築く意識を持つことが、事故のない社会への一歩です
まとめ
梅雨時期の雨天運転は、すべてのドライバーにとって難易度が高まります。特に大型トラックとの関わり方には、普段以上の注意と配慮が求められます。
「見えない」「止まれない」「曲がれない」——トラックの特性を理解し、その動きに先回りして対応することで、安全な共存が可能になります。梅雨の季節も、お互いに譲り合い、思いやりある運転を心がけましょう。
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日本国内の貨物輸送実績の推移と自動車輸送の現状分析

日本の貨物輸送は、経済活動の基盤として重要な役割を果たしています。近年、少子高齢化や労働力不足、環境問題など、さまざまな課題に直面しています。今回は日本の貨物輸送実績の推移を、特に自動車輸送の動向に着目して詳しく見ていきます。
国内貨物輸送量の全体的な推移
国内の貨物輸送量(輸送重量)は、以下のように推移しています。
・2017年度: 約42億トン
・2018年度: 約41億トン
・2019年度: 約41億トン
・2020年度: 約38億トン
・2021年度: 約39億トン
輸送トンキロベースでは、以下のように推移しています。
・2017年度: 約4,520億トンキロ
・2018年度: 約4,460億トンキロ
・2019年度: 約4,410億トンキロ
・2020年度: 約3,850億トンキロ
・2021年度: 約4,040億トンキロ
【輸送トンキロとは?】
輸送トンキロ(ton-km)とは、「貨物の輸送量」と「輸送距離」を掛け合わせた単位で、輸送の総合的な規模を示す指標です。例えば、1トンの貨物を100km輸送すると100トンキロとなります。輸送の効率性や経済規模の分析に用いられます。 これらのデータから、2017年度から2019年度までは概ね横ばいで推移していましたが、2020年度に約3億トンの減少が見られ、その後2021年度には若干の回復が見られます。
輸送モード別の動向
輸送トンキロベースで見ると、各輸送モードのシェアは以下のようになっています。
・自動車輸送: 全体の約5割を占める主要な輸送手段。しかし、近年はドライバー不足や労働時間規制の強化により、輸送能力の不足が懸念されています。
・内航海運: 約4割を占め、大量輸送や長距離輸送に適しています。しかし、近年はシェアの低下が見られます。
・鉄道輸送: 全体の約5%程度を占める。環境負荷が少なく、大量輸送に適しているが、シェアは低水準にとどまっています。
・航空輸送: 全体に占める割合は極めて小さいが、高付加価値商品や緊急性の高い貨物の輸送に利用されています。
自動車輸送の実績推移
日本の貨物輸送の中で、自動車輸送は最も大きな割合を占めています。日本交通政策研究会の「貨物自動車の輸送実態」によると、車種別の輸送重量は以下のように推移しています。
・2017年度: 約2,450億トンキロ
・2018年度: 約2,460億トンキロ
・2019年度: 約2,470億トンキロ
・2020年度: 約2,130億トンキロ
・2021年度: 約2,240億トンキロ
2020年度の大幅な減少はCOVID-19の影響が大きいと考えられます。2021年度には若干の回復が見られますが、依然として2019年度の水準には達していません。
課題と今後の展望
労働力不足への対応
ドライバー不足は深刻な問題であり、自動運転技術の導入や労働環境の改善が求められています。日本政府は東京と大阪間で自動化された貨物輸送回廊「コンベヤーベルト道路」の構築を計画しており、2027年から2028年に試験運行を開始し、2030年代半ばまでに第1期区間での運用開始を目指すとしています。
環境負荷の軽減
輸送手段の見直しや効率化により、二酸化炭素排出量の削減が求められています。鉄道や海運の活用、エコドライブの推進などが効果的とされています。
まとめ
日本の貨物輸送は、多様な課題に直面していますが、技術革新や政策の導入により、持続可能な物流システムの構築が期待されています。今後もデータに基づく分析と柔軟な対応が重要となるでしょう。
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参考文献
国土交通省「貨物輸送の現況について(参考データ)」(https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/content/001622302.pdf)
「自動物流道路の検討状況」(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001758739.pdf)